マイアミ・バイス

 あまり事前情報を集めずに見に行った(Gun誌の記事や銃の知識くらい)。結論から言うと、映画としての完成度はあまり高くない。構成が分かりにくく、かなりのシーンをカットしたのではないかと思われるし、何よりラブシーンがいただけない。つくづく思うのだが、マイケル・マン監督はロマンスにおける男女の機微、女性を魅力的に撮る能力はない。それなのにその描写が長く、ストーリー上重要な位置を占める。この映画最大の難点と言えよう。コン・リーは本当に「色気のないビジネス・ウーマン」にしか見えない。
 逆に素晴らしいのは銃撃戦で、リアリティも迫力もある。人の動きも素晴らしく、精彩を放っている。実にマイケル・マンらしい(笑)。ガンファイトを期待して行く人は失望しない。Gun誌で書かれたように拳銃の出番は限られているが、これはシチュエーション設定の問題だろう。拳銃が有効な状況を創出すればリアリティを保ったまま拳銃の出番を増やせただろうが、映画がそれで良くなるわけではない。それにしてもあの銃(=Tiki)のチョイスはどうかと思うが。