錐刀あるいは裏柳生

隆慶一郎の性癖には錐刀という武器がよほど合っていたのではないか。『吉原御免状』にはじまったこの陰惨な武器を、隆慶一郎は終生使い続けたのである。

 『吉原御免状』を読んでいて思いついた。もちろん文章は『影武者徳川家康』から。「錐刀」は「裏柳生」等にも代替可能。隆慶一郎って同じアイテムを使い回すのが好きだよね、という話。「不動金縛り」も複数の作品で使われているし。他には「槍にもなる仕込み刀」「実在したもの以上に射程のある遠町筒」も複数の小説に登場していて馴染み深い。