ゾンビよりも他に考えることはある

 この日記のネタの大半は海外の銃・ナイフ・軍事情報関係のフォーラムから集めている。こうしたフォーラムではどういう訳か「ゾンビに対抗するにはどうするか」という趣旨のスレッドが立てられることが多い。吸血鬼とか獣人という場合もあるが、ゾンビを敵としたものがメジャーだ。お前らそんなにゾンビが好きか。
 しかし日本でこの手のネタを考えるのは難しい(2chの軍事板にその種のスレッドがあったが)。そもそも日本にゾンビや吸血鬼はいない。吸血鬼が日本にいないのはもうどうしようもない歴史的な事実で、北極にペンギンがいないとかイハ・ン・スレイに古のものがいない、といったことと同じだ。ゾンビは江戸時代くらいまで似たようなのがいた(浅井了意『伽婢子』の「鬼谷に落ちて鬼となる」に出てくるやつとか)が、その後伝承がないので絶滅したのだろう。ニホンオオカミのようなものだ。海外の吸血鬼やゾンビが外来種として日本に来るのではないかという意見もあるかもしれないが、彼らの種の特性や過去の例から考えると心配する必要はない。
 どうせ日本を舞台に考えるなら、鬼や天狗を敵に設定したほうが意義深いものになる。河童という手もある。これら妖怪の目撃例は、ゾンビや吸血鬼の話よりも多い。また妖怪と人間が刀剣や弓矢、火縄銃で戦った逸話も無数に存在する。つまり参照すべき事例があるので、考察の材料にも事欠かない。しかもこうした過去の逸話で使われた武器は、現代日本で一般市民が何とか入手可能な武器に近いのだ。
 日本人は、日本にいない怪物と戦うことを考えるより日本古来の怪と戦う術を考えるべきではないか。