MIL SPEC Magazineと飯柴大尉の件

 8月21日に「MIL SPEC Magazine(ミルスペック マガジン)vol.1 アメリカ軍編」というムックがホビージャパンから発売された。内容は実銃、それも軍用カスタムの紹介を中心にしており、「アームズマガジンの実銃記事とコンバットマガジンの記事を足して4で割ったような」雑誌だ。複数の記事を米軍の飯柴大尉が書いており、ほとんど彼一人でできた雑誌と言ってよい。しかし飯柴大尉と言えば先日、米軍の軍用の光学機器(EOtech社のホロサイト553)の不正輸出で訴追された人物である。
http://seattletimes.nwsource.com/html/localnews/2008060723_captain19m.html
http://seattletimes.nwsource.com/html/localnews/2008077871_webarmyplea28m.html
 同誌の編集部も頭を抱えたことだろう。雑誌の末尾に編集部として飯柴大尉をかばう記事が書かれている。ただし、事件についてあまりに記述が少なく、あれだけ読んで事態を理解できる人間はいないと思う。
 ここからはこの事件とその弁護の記事の感想。


・飯柴氏はライター兼タクティカルギア業者(インストラクター等も兼ねる)になりたいのではないか。ここ数年の氏の活動はそちらを指向している。今回の一件も根はそこにあるとみている。退役後は完全にそちらに移行するだろう。
・今回の不正輸出は、「自衛隊の特殊作戦群のため」とする話が当初あったが、その後の報道では個人・業者に売ったことになっている。そして、その件の説明はミルスペックマガジンの記事に一切ない。米国の同盟国日本のために輸出したという雑誌編集部の弁護は、不正輸出された製品がトイガン用に売られていたため意味をなさない。国益なんて関係なくただの個人の利益の話だろ。
・ミルスペックマガジンの飯柴氏弁護の記事では不正に実銃用のアクセサリーを輸入している業者が批判されている。しかし不正輸入している業者と飯柴氏と何が違うのか?やってることは同じで、そもそも飯柴氏が輸出した機器を売っている業者と独自に入手した業者の区別をどうつけるというのだろう。
・この事件があっても、日本の業界は彼をライターとして使うだろうか?恐らく使うだろう(現にムックも出してしまった)。何しろ日本のトイガン業界は逮捕暦がある人間も多く、適当なところがあるから。しかしほとぼりが冷めるまでどうするのか。
・氏が兵士としてよりプライベートなアルバイトに力を注ぐ人間だという印象は私の中に残り続ける。そして氏の記事は商売関係・人間関係を重視しすぎて信頼性の低いものだという認識は消えないだろう。