指定管理者制度の図書館というのは一般に知られていないのか

http://1st.geocities.jp/buntoshokan/
 こういう話があって、はてブがついていた。
はてなブックマーク - 2010年から指定管理者?! 文京のよりよい図書館をつくる会
 ま、こういう反応はある意味当然なんだけど、ひょっとして指定管理者制度公共図書館というのは案外知られていないのだろうか。
 JLAの調査とか一般の人は見ないんだろうし→http://www.jla.or.jp/sitei2008.pdf
 そしてあまり自治体受けしていないJLAの見解も→http://www.jla.or.jp/kenkai/siteikanrisya.pdfhttp://www.jla.or.jp/kenkai/200812.pdf
 図書館が指定管理者制度になるかどうかは自治体の好みの問題と言っていい。
 例えば私が住んでいる杉並区なんかは区長が民営化大好き人間なので、一つの区なのに複数の業者に図書館を指定管理させるという事態になっている。
 それでメリットがあったかというとあまり無い。金銭的なことで言えば「ワーキングプアを生贄に捧げることで指定管理者制度を召喚!」というのが実態だ。まあ、杉並に限定した話じゃないが指定管理の図書館の館長クラスは元々どこかの館長や管理職経験者で、そこそこの給与はもらえているけどね。
 指定管理者制度がうまくいっている例というのもある。元の図書館運営がひどい場合は委託して改善される。図書館が元からダメな自治体は、図書館を自力で良くするにはえらいさん(首長や教育委員会、館長)によほどの人物がいないと難しいのだが、指定管理にすることで改善される例がある。
 だからそういう自治体で指定管理者制度を導入するというのは一つの手段だと思う。最も、図書館のサービスがうまくいってもさっきのワーキングプアの問題やら、制度内容やら色々と課題があるのは変わらない。
 個人的に嫌なのは、ここで何度か話題にしている「図書館の自由」に絡むような問題に対して、基本的に指定管理者制度は全く考慮してないということだ。一度指定管理者制度の図書館の館長複数名にインタビューしたことがあるんだが、「何も考えてない」というレベルだった。制度上も何も考えられていない。
 いくつかの自治体で図書館の指定管理者制度を進めている話を聞いたが、とにかく考慮している事項が少ない。だから今指定管理をやっている業者も苦労していることが多い。実はこの領域は調査はあっても検討や研究は進んでいない。民営化で安くなってサービス向上、というお手軽な建前の影で、実は色々な問題が起こりうる。しかしそうした問題の情報というのは、業者が抱えてしまって中々表に出てこない。さすがに個人情報流出とかは表沙汰になるけど(しかし公共図書館で個人情報を流出させたTRCはなぜプライバシーマークを取り消されなかったんだろうな…謎だ)。
 最大の問題は、委託しようとしまいと自治体の図書館が改善する余地*1はそう多くはなさそうということだ…。

*1:開館時間といくつかの利用統計に出る側面は改善されうるが、そこが限界。図書館の自由も多様性も維持・発展は難しい。