問題ある図書館に非正規で勤めてしまった新人に贈る

 ある大学図書館に委託として勤めたが、職場の状況が悪く、早々に辞めたくなったという卒業生と話をした。
 この時期、そういう人は新卒でなくともいるだろう。
 今回はそういう人に向けて書く。


 まず、自分の過去の経験と最近の人からの伝聞を元に書くと、以下のような図書館はたいてい酷いことになる。


(1)図書館の規模が小さく、一人当たりが受け持つ業務の種類が多い
(2)働いている人間に対立構造がある
(3)契約や業務を理解しない人間が図書館の正規職員や管理職にいる


 小さな図書館では一人あたりが受け持つ業務の種類が多く、大体不満がでてくる。
 図書館人は全ての業務に通じていることは少なく、特定分野のみに通じていることが多い。
 それが不得意分野の業務もやる(あるいは不得意な人間と仕事をすることになる)と、かなりのストレスが生じる。
 身も蓋もないことを言うと、図書館業界なんてのは図書館以外ではとても勤まらないような社会人としての適応力に乏しい人間がかなりいるのである(特に大学図書館は)。
 その状態で要求が理不尽であるとか、攻撃的であるとか、あるいはどうでもいいような理由で対人関係が悪化すると業務と人間関係の双方が悪化し、留まるところを知らない。
 これは大学図書館で顕著だ。なぜなら大学図書館では正規職員・嘱託職員・アルバイト・派遣・請負など多様な雇用形態の人材が共存していることが多々あるからである。
 一つの大学で全ての種類の形態がある例も珍しくはない*1
 こうなると命令系統や担当業務の差異で否応なく業務は円滑に流れなくなる*2
 (3)のような組織・個人がいるとこれを悪化させる。
 (1)〜(3)の条件に該当し、業務と人間関係が悪化した図書館は、管理職が変わろうが業者が変わろうが何年も状態は改善しない。
 業務の種類が多く、人間関係が悪いと業務引継ぎも順調に行われず、業務は次第に劣化していく。
 一度悪化すると様々な要因が絡み、発端となった部分を取り除いてもどうしようもなくなるのだ。
 このような問題の背景には日本の大学経営や補助金行政、図書館業者の問題があるが、それはここでは触れない。


 もし上述のような図書館に勤めてしまい、「しまった」と思ったらどうすればいいか。
 「どこまで耐えるか」「いつ辞めるか」をうまく見極めることだ。
 耐えるメリットは、一定期間勤めることで履歴に傷を残さないことだ。これ以外にあまりメリットはない。
 上述のような問題のある図書館では、まず大したスキルアップができない。
 対人関係で精神をすり減らすのがオチである。
 ただし、丈夫で長持ちする人材はこの世界では重宝がられるので(あまりスキルがなくとも)、もし状況に耐えられるなら出来るだけ続けたほうが先行き道は開ける(そういう例を何人か知っている)。
 当然だが、無理に長く耐えようとして健康を害する人間もいるので、この道はお勧めしない。
 耐えて一年が目途だろう。それまでに求職活動や勉強をしたほうがいい。
 早々に辞めるのも一つの手だが、その場合求職活動での履歴内容や面接での応答はよく考えておくこと。
 下手な言い訳や元の職場への批判は、自滅の道だ。
 半端な時期で辞めるとあまりいい職がみつからないという難点もある。
 5〜6月には辞める人も出てくるので募集も少し増えるが、その時期に募集をする図書館には問題のある図書館も含まれる。
 同じ地域で何度も応募がある場合、上述のような問題を抱えた図書館である可能性が高いので注意すること。
 特にチーフ、リーダークラスの募集が同じ地域で何度もあるようならまず尋常ではない。
 某掲示板で募集を探すなら過去ログを見ておいたほうがいいだろう。
 面接でもそれとなく既存の人員の継続年数や雰囲気について確認するように。


 健康に気をつけて生き残ってほしい。幸運を。

*1:一つの業務に複数の雇用形態の人間がいることさえある。

*2:これは業務の切り分けや規模にもよる。