『天使と悪魔』、『ダヴィンチ・コード』に続き、美術と宗教と科学、そして陰謀論をベースとしたラングドン教授シリーズの第3作の邦訳がとうとう発売された。
- 作者: ダン・ブラウン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2010/03/03
- メディア: 単行本
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- 作者: ダン・ブラウン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2010/03/03
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中でも特筆すべきは『水からの伝言』ネタが扱われていることだ。
『ロスト・シンボル』では有名ないくつもの疑似科学・超常現象ネタ*1の研究が最新の科学のように扱われていて、言葉によって水の結晶が変わるという話もその一つとされている。
こうした研究分野は、作中では純粋知性科学の研究として一括りにされている。
この小説も映画化が既に決まっているので、それにあわせてこの小説の疑似科学ネタ、超常現象ネタも広がってしまうのではないかとちょっと心配になる。
この小説で純粋知性科学として扱われている疑似科学ネタは、現実では実験方法に問題のある研究が多く、しかも「ネタが古い」ものもあるのだが*2。
懐疑的な視点からの情報がない上にまるで科学的な研究がされているかのように紹介されている点がいかにもダン・ブラウンらしい。
例によって小説に紹介されている知識は事実に基づいているとされているので、読者の中には真に受ける人もいるだろう。
特に日本の場合、日本発の『水からの伝言』が逆輸入されてきたということで盛り上がるのではないだろうか。
『ロスト・シンボル』は海外で2009年に出版されたため、この本の内容も既にそれなりに知れ渡っている。
既に海外情報を見ているビリーバー(あるいは懐疑的な人も)のこの小説で扱っているネタには反応している。
例えばネタバレを含んでいるがDan Brown (ダン・ブラウン)新作 「the Lost Symbol(ロストシンボル)」:ボディー・フィールドは全てを記憶している-人生を幸運に導く法則ではいくつかのトピックが紹介されている。
前2作同様、知識部分の検証本も日本で出版されるとありがたい。
*1:超能力研究や人間の意識が外部に影響を与えるといった事例が中心。リモートビューイングや人体から出る波動やエネルギーやら、とにかくその種の話題の基本的なものがかなり出ている。
*2:例えば人が死ぬと霊魂が抜けるぶん体重が軽くなるという話(wikipedia:ダンカン・マクドゥーガルの実験)など。