近未来合気道小説『神技 Kami-Waza』

合気道小説 神技―Kami‐Waza

合気道小説 神技―Kami‐Waza

たまたま発見した合気道小説。前に書評だけは読んで存在は知っていた。
発行は武術雑誌・書籍で知られるBABジャパン、執筆者はイスラエル出身の養神館合気道6段の人物。
この2点だけ見るとリアルな合気道描写を期待してしまうだろうが、必ずしもそういう方向性の作品ではない。
何しろ22世紀のフランスが舞台で、少年達が合気道開祖・植芝盛平の伝説の「神技」を復活させる計画にまきこまれるという凄い話なのだ。
ストリート・チルドレンである主人公ジェロームと友人のマックスはアイキ・リブリウム合気道学校に無理矢理入れられ、そこで「神技」復活のために合気道を学ばされる。そしてそのストーリーと並行して過去の植芝盛平のエピソードが語られる。
あらすじだけ読むと面白そうに思えるかもしれないが誤字が多くこなれていない日本語で、とにかく読みにくい。
合気道の習得や理屈の説明も分かりにくく、特に物理学(ひも理論)で説明されているあたりはかなりこじつけ感が強い。
そして肝心の合気道の「神技」が世界にアピールされるのは総合格闘技の試合やスタントなのである。
特にスタントは重要な場面で登場する。しかし爆発で崩れ落ちる足場を飛び移るスタントに合気道が使われるというのはかなり奇異に感じる。
武術小説というより奇書として読んだほうが楽しい小説と言っていいだろう。