ネット小説の最近の武術の描写で気になったこと

たまにやっている集計の準備で不定期に色々なネット小説サイトの小説に登場する武術を調べている。
ここ一年の武術登場作品を整理していて気になったことを書く。
ちゃんと集計していないのであまり厳密な話ではない。

  • 練習環境について。
    • 師匠・弟子の関係が一対一の作品が多い。
    • 師匠が作中に登場しない作品でもしばしばマンツーマンの指導を前提として説明されている。
    • 特殊な人物から習ったとか、武術を伝える家系といった事情が多く、複数の人間が稽古する環境があまり多くない。
    • 伝統武術に限らず、護身術とかシステマでもこのパターンがある。
    • 複数の人間が稽古する環境でも現実にあるような道場、ジムではなく学校部活動としてだったりする。
    • そういう場合は古武術全国大会優勝といった実績が登場人物の強さの根拠に使われる。
  • 強さの程度について。
    • 現実の武術が登場する小説では主人公は「武術をやったことがある」程度に経験と強さを抑えられていることが結構ある。
    • こういう作品では、しばしば主人公は自分が対処できない相手や状況というのを弁えて行動する。そこをどう解決するかがポイントになっている。
    • また、主人公が最初からとんでもなく強いという話も以前と変わらず存在する。
    • その中の典型的なパターンの一つが若くして複数の武術をマスターしたという設定である。
    • このパターンはネット小説で使い古されているためか、評価されている作品では何らかの工夫や現実の武術知識が盛り込まれている。
  • 古武術」の扱い
    • 古武術の重要な要素は身体操作であるという認識が広まったせいか、身体操作に言及する作品が結構ある。
    • 中には「古武術によって得た身体操作で負傷者を運ぶ」といった内容もある。古武術介護的。
    • 一方、古武術がどういうものを指すかについては過去のフィクションのイメージと変わっていない。
    • 具体的に言うと剣術が含まれない・打撃・投げ・関節技を含む徒手格闘技である。
    • 言うなれば陸奥圓明流や灘神影流のようなイメージである。
    • そして「〜流古武術」という創作流派名が非常に多い。