鞭で打たれたことある人、いる?:システマと鞭の話

武器術の話をする際、何の経験もなしに想像で話をする人は結構多い。
その例の一つとして、鞭がある。武器術としての鞭の経験がある人は少ない。
ステマでは練習で鞭で打たれることがある。一般的な鞭とは違うが、その話を書こう。
ステマではコサックの伝統的な武器であるコサック・ウィップを使う。


長いものをナガイカ(上)、短く太いものをボルチャッカ(下)という。
この2種類の鞭はロシアのいくつかの伝統武術、格闘技で使われている。
地域や団体によって使う鞭の形状・素材には違いがあり、システマ用のものは重厚だ。
ステマ用ナガイカの長さは約90㎝、重さは600〜650g、ボルチャッカの長さは60cm前後、重さは600〜650g。

(ミカエル・リャブコ師によるボルチャッカのデモンストレーション)
重い鞭なので軽く打っても骨身にひびき、リラックスした受け方ができていないと内出血を起こす。
特に先端まで太いボルチャッカの打撃は重い。
また、長さのあるナガイカはうまく受けないと先端が遅れて回り込むように当たってくる。うまく動く必要がある。
ナガイカやボルチャッカで思い切り打たれると編んだ革の形状そのままに内出血の赤いパターンができることもあるし、広範囲に腫れ上がる例もある。
筋肉を硬直させてもダメージが減るわけではなくかえってひどいダメージを受けるので受け手は衝撃を緩和しなければならない。適切な脱力、受け方をするとひどいダメージにはならないが、それでも痛みが無いわけではない。
この鞭によるダメージには個人差が結構ある。
一発の攻撃でダメージの影響が大きく出る人もいれば、何発重ねて受けてもダメージが出にくい人もいる。
また身体のどの部位で受けるかでもダメージは変わる。