
- 作者: 宮崎政久
- 出版社/メーカー: 雄山閣
- 発売日: 2018/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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書名では分からないが、本書は日本刀を使う戦闘様式の変化と礼制についての本なのだ。
著者は柳生月神流(情報が少ないのでネットでも謎の流派扱いされがち)三段。
日本刀がどのように使われてきたか、軍記物や絵巻、刀の形状の変化、武術伝書など様々な史料・論拠から論じている。
推測や想像も含まれているが、著者の想像である部分はそれとわかるように書いているので、混乱することはない。
主張の全てを支持できるというわけではないが、幅広い史料を参照、紹介しているので、この分野について知りたい場合の参考文献の入口になる。
目次は以下の通り。これらの内容に興味がある人にはお勧めできる本だ。
序 章
第1章 日本刀の源流―その遺伝子―
1 中国における直刀の出現とその用法
2 古代日本の軍制と直刀
3 日本の古代刀
4 蕨手刀
5 蕨手刀出現の背景
6 蕨手刀の用法及び騎乗との関係
第2章 日本刀の「反り」が意味するもの
1 直刀の意味
2 弯刀化の条件
3 反りの系譜
第3章 騎兵の弯刀・太刀の時代
1 日本刀空白の時代(平安前期から平安後期)
2 太刀の黄金時代(平安後期から鎌倉後期)
3 時代背景
4 当時代の刀剣と戦闘様式
5 儀仗、野劔、毛抜形太刀
6 鎌倉時代の武家の立場と戦闘様式
7 後鳥羽上皇と太刀
8 刀剣王国備前
9 太刀の刃文、日本的美意識の発露
第4章 元寇の影響
1 元寇の概要
2 元寇での武器
3 戦いの実相
4 元軍撤退の真相
第5章 元寇と刀剣
1 刀剣(界)への影響
2 刀剣茎への「官途名」・「年紀」・「神号等」鑽刻の事情
3 刀身彫刻
第6章 南北朝期の大太刀
1 南北朝期の時代背景
2 南北朝期の戦闘と武器の特徴
3 南北朝期大太刀の実際
第7章 室町期の刀剣と戦い
1 刀剣の室町時代
2 軍記からみた室町時代の戦闘様式と刀剣
3 室町期刀剣の時代分布
4 室町期刀剣の実態
第8章 江戸期の刀剣文化
1 武家身分の可視化と刀剣
2 江戸期刀剣の機能と区分
3 武家服装と刀剣拵え
4 刀剣・礼服令制の変化と受容
第9章 江戸殿中刃傷
1 殿中(営中)刃傷の概要
2 刃傷に使用された刀
3 刃傷の様相
第10章 市人・農民・無頼と刀剣
1 帯刀に関する禁令
2 江戸後期の世相と剣術熱
3 無宿、渡世人、博徒と刀剣
4 御用商人の帯刀御免
5 褒賞、役割による帯刀免許
6 勝手な帯刀による御仕置
引用文献
参考文献
図版出典
あとがき
索引