『十手 破邪顕正の捕物道具』

十手  破邪顕正の捕物道具

十手 破邪顕正の捕物道具

先月出版された谷口柳造『十手 破邪顕正の捕物道具』(目の眼)は近年では珍しい十手の紹介と論考をまとめた本だ。
著者の谷口氏は十手愛好会代表で骨董商であり、名和弓雄氏に師事して十手術などを学んだ経験がある。
本書ではその知識と経験、コネクションを活かして武術練習用も含む300本に及ぶ十手や捕物道具を紹介、解説している。
鎖、呼子、捕縄など捕物道具も紹介しているがそちらは限定的で、あくまで十手中心の本である。
よく知られる十手はもとより、琉球の十手、明治時代に作られた催涙液発射十手、鳶口がついた鳶十手、矢立十手、米差十手など珍しい十手も数多くカラー写真で掲載されていて資料価値も高い。
『江戸の十手コレクション』(里文出版)よりも情報量が多く、十手に興味がある人には今後必須の本と言っていいだろう。