ある大学図書館とCOVID-19対応(3~4月)

本業の大学図書館について書いておく。

現在の閉館勤務体制までの流れ

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大とともに、段階的に大学図書館の仕事も変わっている。
大学によって様々だと思うが、私の勤務先では昨年12月から学内で注意喚起が始まり、注意喚起がより明確化したのが今年2月、そして3月から大学行事が変わっていった。
しかし勤務先は対応が遅いほうで、卒業式は時間短縮して開催、入学式もかなりギリギリまで開催する想定だった。
(結局中止になったが、入学式中止が発表されたのは3月30日のことである)
一方図書館は3月は春休みで短縮開館ということもあって、特に閉館や入館者規制などの指示は無かった。
ただし大学の判断や指示が遅れるのは予想できたので、3月中旬には複数のプランを策定しておいた。

レベル1. 開館を継続するが開館時間や設備利用に制限を加える
レベル2. 閉館するが職員勤務は継続する
レベル3. 閉館した上で職員も出勤しない

かなり緩い制限がレベル1、海外のような都市のロックアウトに対応するのがレベル3、中間がレベル2だ。
事前にどのレベルで何をするか、全学部図書館に連絡、協議して共通認識を作り、急に予定が決まっても対応できる準備をしておいた。
結果的に3月末から4月7日まではレベル1、4月8日からはレベル2(ただし出勤日数は制限)となった。
大学の決定が伝えられたのは遅く、各レベルの準備をしていなかったら対応しきれなかっただろう。
閉館とサービス変更に関する学内告知、掲示物の作成、図書館システムの設定変更、職員の出勤体制の再編成、貸出中の資料の返却期限日変更、委託会社や派遣会社への連絡、書店営業への連絡、在宅勤務時の仕事の振り分け、長期閉館のための施設の様々な対応など、やる事は多い。
(マスク、消毒液、アルコールタオルは昨年購入しており、まだその備蓄を使用している。)

新入生ガイダンス

4月冒頭の図書館ガイダンスは通常45分程度の時間があるのだが、今回15分となった。
新入生ガイダンスは図書館以外でも時間と日数を圧縮して無理やり行った。
そうしないと大学から新入生への連絡も履修申告もリモート授業もままならないからだ。
図書館の説明は図書館ホームページの利用と学外から利用できるサービスの説明で終わった。
今年の新入生は他の学年より突出して図書館経験が少ないので、今後状況に応じてフォローする必要がある。

リモートサービス

大学図書館は多くのデータベース、電子雑誌、電子書籍と契約し、一部はリモートアクセスが可能だ。
また今回のCOVID-19対応で多くの企業・機関がデータベースのリモートアクセスを無償提供している。
3月末~4月上旬の仕事の多くは、こうしたリモートアクセスの確認と手続き、学内への情報提供だった。
ただし、告知しても確認していない利用者はいて「~は使えないのか」と告知済みの件について問い合わせが来る。
リモートサービスについては一回告知すれば終わりというわけではなく、提供内容の追加・変更や無償サービス期間の延長もあるので告知は継続して行っている。
(なお、勤務先に学認やVPNのような仕組みはないし、恐らくウチの規模では整備されないだろう)

文献複写

職員の出勤が限られているため、文献複写(ILL)は実質停止している。
そもそも申し込み先の大学、研究機関も受付停止しているところが多い。
ただ、先生も学生も事前調査不足で実際には無料で入手できるものでも申し込んでくることが多いので、メールレファレンスの一環として文献調査は対応している。

出勤と在宅勤務

同じ大学でも学部(キャンパス)によって、登校自粛の厳しさが全く異なっている。
厳格なキャンパスの図書館はほぼ一か月出勤なしである。
私がいるキャンパスは緩いのと、私が全分館の仕切りをしている都合で週1~3日出勤している。
資料受入や統計など図書館業務のいくつかは図書館システムを使うことが前提で出勤しないと仕事が進まない。
私の仕事は上述のリモートアクセス等のサービスの学内告知、教職員への様々な情報提供、図書館委員会や各種委員会との協議、メールレファレンスの対応、業者対応などだ。
在宅勤務では他の職員への指示や決定、選書や発注準備、業者との協議、会議資料作成などを行っている。
在宅勤務の時間に落ち着いて選書できると思っていたが、私宛の連絡や質問が多くて思ったようにできていない。

今後の課題

勤務先の大学では前期は遠隔授業でほぼ全て対応することになっている。
しかし、遠隔では学生・教員が利用できる情報資源は少ない。これが最大の課題だ。
リモートアクセスで提供できる雑誌、図書、動画などの電子情報資源が増えたと言っても、図書館にある従来の媒体と比べると少ない。
医療系の大学生向け教科書・参考図書は典型的な例だが、大学図書館向けの電子書籍サービスでは買えない本が多いのである。
これは出版社の意向が強く出る問題で、容易に話が進まない。
とにかく大学生の学習に必須の本の多くは遠隔では提供できないのが現状だ。
一部公共図書館が実施しているように郵送で貸す手もあるが、講義や課題のため同時期に特定の本の利用が集中する大学には向いていない。
もう一つの課題は、電子情報資源のリモートアクセスの無償サービス期間が終わった後どうするかだ。
COVID-19対応で無償提供されているリモートアクセスサービスは期間限定で、ずっと利用できるわけではない。
全てのサービスを導入する予算はないが、今後リモートアクセスへの要望はこれまで以上に高まるだろう。
予算と利用動向、利用者の希望を検討し、今までより電子書籍やデータベースを増やすことになるというのが今の見込みだ。
段階的に図書館サービスを通常開館に戻していく計画も立てなければならないが、登校自粛期間は長引くと予想し、リモートサービスの充実のほうが先行すると考えている。

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