動画から分析した喧嘩やナイフ攻撃の統計記事紹介

海外では護身術や犯罪対策の一環で動画で事例を分析する例がある。
その中でよく武術・護身術の話題で引用される記事の内容から一部を紹介する。
詳細や動画を確認したい場合にはリンク先を確認してほしい。

一つ目は素手の喧嘩(ストリートファイト)の動画を分析した記事。
最初に154件の動画を分析した以下の記事を公開し、
www.martialjournal.com
その後、著者は分析対象を200件に拡大して調べた結果を記事にまとめた。
www.highpercentagemartialarts.com
www.highpercentagemartialarts.com
200件のうち117件が男性2人の争いで、女性2人の争いは26件だった。

戦いの17%はノックアウトで終了し、14%の戦いは打撃やチョーク等で参加者が無力化されて終了している(「TKO」と考えてほしい)。
いずれの場合でも30秒以内に終わることが多い。
そして30秒経過すると、ノックアウトまたはTKOの可能性は急激に低下する。

男性は、強烈なパンチで互いを攻撃し、地面に転がり、疲れるかノックアウトするまで殴り続ける。
女性は、片手で髪をつかみ、倒れるまでパンチの応酬を行う。
そして男性同様に地面では疲れるかノックアウトするまでパンチを続ける。
全体として、戦いの51%は勝敗がはっきりしない。

2人の男性間の戦いの51%は、ノックアウトや絞め技によって無力化されるなどの暴力的な結果に至ったが、女性2人の戦いでは8%だけが同様の結果になった。
女性の戦いはどちらかが戦闘不能になるまで続くことは少なく、男性の戦いは互いに深刻な傷を負う可能性が高い。

喧嘩の73.1%で地面に転がっている。2人の女性の争いの場合さらにその割合は高く、その多くは女性がクリンチする傾向があるためだ。
(この場合のクリンチは他の記事での説明から髪を掴んで引っ張るような行為も含まれると思われる)。
なお、154件の分析の記事では、全体の55%でクリンチが発生し、特に女性の争いでは79%でクリンチが発生している。

二つ目はナイフによる攻撃の動画150件以上を分析した記事。
www.urbanfitandfearless.com

ナイフによる攻撃の71.1%は、ナイフを持っていない方の手が先に動いて攻撃対象を捉えている。
ナイフを持っていない手は、戦いのダイナミクスを大きく変える。
被害者の最初の反応は、攻撃者の空いているほうの手の動きによって条件付けられるためである。

ほとんどのナイフ攻撃はナイフが隠された状態から始まる。
分析では80%でナイフは最後の瞬間=攻撃開始まで隠されたままだった。
攻撃者は犠牲者の気をそらそうとし、攻撃する機会が十分にあるのを待ち、犠牲者を後ろから攻撃することを躊躇しない。

ナイフ攻撃の70.6%は、犠牲者から3フィート(約91.4cm)以内で始まる。
「3フィート以内」は、実際には「腕の長さ以下」で、攻撃を受ける人間が反応する距離・時間がほとんどないことを意味している。

ナイフの攻撃は長時間持続しない。
攻撃開始から停止までのナイフ攻撃の平均は23秒、中央値は14秒。
攻撃の80%は32秒未満である。
ナイフ攻撃の平均持続時間は23秒だが、平均的な攻撃者は5秒ごとに5〜7回の割合で刺す。

ナイフ攻撃は、様々な角度ですばやく、短く、繰り返し刺すものである。
そして攻撃の58.8%は順手持ち、29.9%は逆手持ちだった。
少数のケース(約6%)で順手⇔逆手のグリップの持ち替えが行われている。
一方、ナイフの持ち手の左右を替えた例は無かった。