武蔵野ふるさと歴史館 企画展「武蔵野の異界」

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武蔵野市立武蔵野ふるさと歴史館の企画展「武蔵野の異界」に行ってきた。
諸星大二郎的な異界も含め、幅広く境で区切られた領域を扱った史料や写真、物が展示されていた。
異界という言葉の一般的なイメージ、使用よりも幅広い内容を扱っている。
「自然の中の異界」として武蔵野のダイダラボッチ伝説、逃げ水、井の頭池の天女と大蛇伝説といった伝承、そして林を紹介し、「異界としての村」として村境や年中行事、近代の異界として盛り場・マーケット、ハモニカ横丁を、身近な異界として踏切と家の中の屋敷神を紹介していた。

企画展の展示の目玉は、清瀬市下宿の「ふせぎ」だ。
「ふせぎ」は村内に悪いものが入らないようにする藁で作った蛇だ。
先日、Twitterで埼玉県蓮田市の藁蛇・「伊豆島の大蛇」が話題になったが、あれより大きい。
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同様の藁蛇は各地にあり、世田谷区のものを見たことがある。
ジャの道は蛇 -藁蛇の祭と信仰- | 刊行物 | 世田谷デジタルミュージアム

ふせぎ以外にも村の境にある庚申塔や札などは興味深い。
凶作で余裕がない時に村に勧進が来ないように示す勧進留札というものがあるのを初めて知った。
一方で近代の展示は異界という言葉のニュアンスとあまりうまく合っていない印象を受けた。

企画展の展示物は撮影できないが、図録(フルカラー16ページ)は無料配布されている。
この図録が良い出来なので、行く人は必ずもらうように。