- 作者: 隆慶一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/08/30
- メディア: 文庫
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この小説の面白さは冒頭の随筆部分から始まる。隆慶一郎が自分の過去について語ると尋常ではない生が伺えてすばらしい。小説の登場人物なみだ。この小説と関係ないが、別の随筆にあった上海ガニのエピソード*2の大人げない隆慶先生なんか萌え萌え。
本編は「忠義に厚い死人だから無茶をやって主君も大変」という普通の時代小説ではあまりない構図が良い。「死人だから」で何でも済んでしまう(隆慶一郎作品では「道々の者だから」とか「鬼っ子だから」とか「いくさ人だから」といったことが無茶な状況下では理由付けになるというのがパターンだ)。斎藤杢之助、牛島萬右衛門、中野求馬らの私心のなさのために読者にも違和感なく無理が通じてしまう(たまにつっこみたくはなる)。つくづく未完であるのが残念だ。森田信吾が完結版をひねり出して漫画化しないものか。