- 作者: 斉藤光政
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 2006/12/10
- メディア: 単行本
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本書は「東日流外三郡誌」について特に偽書説にコミットした東奥日報の記者によるノンフィクションで、擬似科学やオカルト話を懐疑的な思考から楽しむ人間には極めて興味深い本だ。これまで「東日流外三郡誌」について否定的な本はいくつも出ているが、研究者によるものが多かった。それに対して新聞記者という立場で長くこの件に接してきた斉藤光政氏の記述はよりわかり易いものとなっている。この件についての知識がない人間でもとっつきやすいだろう。関係者への取材だけでなく、とり・みきの『石神伝説』にまで言及しているような幅広さも魅力だ。
ただし、こうした偽書がどう受容され、どう扱われていったかという点は甘い。この問題は学界の問題や思想的問題の複雑さと関連するので、あえて触れなかったのかもしれないが…。
この種の古代史の偽書・偽史に興味がある人にはお勧めの一冊。