米陸軍と海兵隊、対人遠距離狙撃銃を求める

http://www.armytimes.com/news/2008/08/army_sniper_080308w/
 8月3日付けのAmry Timesの記事によると、アメリカ陸軍と海兵隊は1,800m以上の遠距離用対人狙撃銃を求めていると言う。
 これにはいくつか背景となる事情がある。海兵隊の先行する計画は、800m超の距離で有効な7.62mmの対人狙撃ライフルだった。陸軍の第25歩兵師団では、7.62mmのM24ライフルから.300 Win Magnumを用いるより強力なライフルにアップグレードした例があり、これだと1,200m超の狙撃が可能だ(M24の口径を.300 Win Magに替えた例は以前もあるという)。昨年、陸軍ではM24に替わる狙撃ライフルとしてKnight's Armament社のセミオートライフルM110を採用した。M110は、都市部で複数の標的を撃つ際には有利だが、ボルトアクションのM24のほうが精度が高く構造がシンプルで信頼性がある。このためM110への転換には批判もあった。軍のスナイパーチームでもM24の使用中止に批判があったらしい。要するに1,500〜1,800mを超す距離の対人狙撃に適した銃が現在の陸軍・海兵隊にはなく、更に陸軍では信頼性の高いM24が廃止されることになったという問題を抱えているのだ。
 こうした状況の中で陸軍でも海兵隊でも遠距離狙撃性能に優れた新しいライフルが求められている。そうなると.338 Lapuaあたりが使われることになりそうだが、その辺は未定だ。また、差し当たって陸軍ではM110が支給されてもM24を継続して使うことになるらしい。
 なお、日本ではM24を叩いた雑誌記事があったせいかマニアの間でのM24の評価は高いものではなく、Wikipediaの記事(M24 SWS - Wikipedia)にもその影響がみられる。しかし海外のスナイパーーコミュニティの評価はそうではない。有名ライターの評価や記事を無批判に受け入れて作られた日本のガンマニアの常識が、必ずしも軍・兵士による評価と一致しない例だと言えよう。