革新技術かニセ科学か。FFCテクノロジー

 はてなブックマークから、次のようなニュースをみつけた。
 サーチナ-searchina.net
 今まで全く知らなかったが、赤塚グループという会社が開発したFFCテクノロジーという技術で動植物の機能を高め、建材に入れればシックハウスを防ぎ、鉄の錆を防ぎ…と人間にとって都合の良い多機能な技術であるらしい。
 ここで疑問に感じたのは次の2点。


・矛盾する機能
 カビ、ウイルスといった生物は抑えるのに、「生物が本来持っている生育力を引き出す」というのは矛盾している。
 なぜ人間にとって都合よく取捨選択するのか。この辺の特徴はEMや波動関連商品に似ている。
・多機能すぎる
 植物、微生物、経営、環境、美容などFFCが使われる分野は多岐に渡る。
 しかしあまりに多機能で多くの効用を持つと喧伝されるのは、ニセ科学にもよくあるパターンである。


 そこで、ちょっと調べてみた。

(1)FFCとは
 水溶性二量体鉄塩のこととされている。
 しかしこの物質、検索するとライブウォーターの説明でも使われている。
 赤塚の社長の説明では太古の地球の水の成分だという。
 公式サイトやFFCテクノロジー関連商品を扱う企業のサイトにも説明はあるが、いずれも自然が人間にとって良いという思考が背景にある。
 なお、ニュース記事では「酢」を原料としているとあるが、これは健康飲料のFFCパイロゲンの材料で他のFFCは違う。
 このFFCパイロゲンは意味のないことで有名なモンドセレクション金賞受賞ということで宣伝されている。
(2)普及度
 FFCや水溶性二量体鉄塩で検索してみると思った以上に出てくる。
 住宅建築や食品、ペット用品、園芸用品、果ては温泉の設備にまで使われている。
(3)研究動向
 http://geiiki.blog.shinobi.jp/Entry/47/を見ると、岡山大学には寄附講座としてFFCの技術を研究する講座があり*1、その研究者が発表を行っている。
 また、ニュースで繰り返されているハーバード大学のジョン・ミルズはアジアセンターのマネージャー(Harvard University Asia Center)で、本来FFCテクノロジーの研究とは縁が無さそうな人物である。
 他に研究論文としてはCiNii 論文 -  Ferrous Ferric Chloride Stimulates the Proliferation and Differentiation of Cultured Keratinocytes and Melanocytes in the Epidermis of Neonatal Mouse Skinのようなものもあった。
 これも赤塚の影響が色濃い論文である。
 FFC技術の背景には、1991年の日本海水学会で発表された杉二郎博士、山下昭治「水溶性二量体鉄塩の製造方法があるという。
 これについて調べると、パイウォーターとも幾分の関連があることが分かる(観葉植物(インテリアグリーン)のポトス / TOPページ)。


 他にも色々あるようだが、整理しきれない。
 この情報だけでは断言はできないが、私だったら懐疑の対象である。