ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』を視聴

ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』 - 2010/09/26 20:00開始 - ニコニコ生放送
 ニコ生でホメオパシー問題についての議論を視聴した。簡単にメモを書いておく。


・放送開始前から注目される菊池誠先生の風貌。
・今確認すると来場者11910人 コメント数:27808。冒頭のアンケートではホメオパシー問題の報道後もホメオパシーを知らない人が2割以上視聴していた。コメントでもこの問題を知らない人のコメントが結構見られた。
ホメオパシーのような代替医療の問題について、メディア、科学者、行政、政治とかなり幅広い側面から議論された。ただし行政に関しては統合医療への取り組みや医師法薬事法の問題はあるが、情報が少ないのでつっこみきれていなかった。
・医療ジャーナリストの問題、ニセ科学批判批判の問題、ニセ科学と社会の共存など言及はあったが語りきれない問題がかなりあった。さすがに2時間ではここまで広がる話題を論じるのは難しい。
・ニコ生視聴者のモフモフ療法の人、コメントにモフモフ書きすぎ。
荻上チキ氏の司会は見事。明確な回答がなく議論が拡散しやすい流れをうまく制御していたと思う。最後は時間を過ぎていたため無理矢理だったが。
日本学術会議の唐木英明副会長が電話に出たとき、NATROMさんが出るとばかり思っていて唐木さんが出るとは思っていなかったので、「唐木副会長もNATROMグループの一人」という妄想が浮かんだ。
・当のNATROMさんが電話に出た際は、その語りに萌える視聴者も。それと会場ではNATROMさんが集団であるという説にも言及があった。それはさすがにニセ科学の話題を追っていないと何がなにやらわからない話だったと思う。
・NATROMさんのコメントはホメオパシーを問題視した動機や議論の難しさが中心。穏やかだったのでNATROMイエローではないかと推測されていた。
朝日新聞の久保田裕さんは日本の問題点としてサイコップの活動のような科学者による社会的活動がない事をあげていた。それはそうだが、例はイマイチ。例に挙げていた超能力を示したら一億円とかはジェームズ・ランディのやったこと。彼は科学者ではない。
・同様に久保田さんが例に出したホメオパシー批判の本は、邦訳も示しておいてほしかった。

アメリカ医師会がガイドする代替療法の医学的証拠―民間療法を正しく判断する手引き

アメリカ医師会がガイドする代替療法の医学的証拠―民間療法を正しく判断する手引き

 
あと、放送で触れられた本ではないが、中立的な視点から代替療法を扱ったエビデンス重視の本には『代替医療ガイドブック』がある。
代替医療ガイドブック

代替医療ガイドブック

  • 作者: バリー・R.キャシレス,Barrie R. Cassileth,浅田仁子,長谷川淳史
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本
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 しかし日本の著者によるこの種の本が少ないのは確かに残念なことだ。この種の本は売れないからか絶版になる事が多く、上の本も絶版。
・Bad Scienceの邦訳が出るとは知らなかった。原書は持っているが邦訳も出たら買おう。
Bad Science

Bad Science



(追記)
科学リテラシー、教育の問題について書き忘れていた。例えばクリティカル・シンキングについての言及があったが、これも今後議論が膨らむ話題だと思う。
 実際、ホメオパシー団体でもクリティカルシンキングを教えているところはある(ハーネマン・アカデミー)が、その実態を踏まえると、(当たり前だが)クリティカル・シンキングも先入観や情報の制限によって有効に機能しない。
・今回の問題は、事前知識の少ない視聴者が結構いるにも関わらず一定以上の知識を要する話が多かったこと。いくつか関連の外部リンクを出していたが、初心者向けの解説があるサイトも同様に示したほうが良かったかも。同時にプラセボ効果の説明やメタアナライシスの解説があれでいいのかというのは疑問として残った。