システマの射撃技術とモディファイド・プローン

ステマに射撃技術について少し書いておく。
ステマならではのタクティカルシューティングテクニックというと、移動しながら、あるいは体勢を変えながらの射撃が最も特徴的と言っていいだろう。イメージしにくいと思うので、動画を見てほしい。


ステマのDVD『Gunpoint Supremacy』より



軍の訓練で同様の技術が使われているのを見ることができる動画もある。


ロシア軍第22独立親衛特殊任務旅団の訓練動画



銃を持ったまま、柔軟に地面に落ちたり移動したりする技術が分かると思う。
こうした技術には、欧米の射撃の技術体系とは必ずしも合わないものもあるが、評価されているものもある。


ステマと関わりが深い射撃技術に「モディファイド・プローン」、「スペツナズ・プローン」などと呼ばれる低い姿勢でのシューティングポジションがある。「ニーリング・プローン」などとも呼ばれる。スペツナズ・プローンと呼ばれていても作ったのは北米のシステマ・インストラクターであってロシアのスペツナズとの直接の関係はないのかもしれないが、この辺の厳密さについてはよく分からない。
モディファイド・プローンは、低い姿勢で片足を伸ばし、もう片足を曲げて体を屈めるように低くした姿勢で、車の下を通して撃つ場合などに適している。1990年代前半にシステマのインストラクターJames Williamsが開発した*1ともKen Goodが開発した*2ともいう。二人とも同じところに属していたので関係があるのは確かだろう。現在ではSonny Puzikasといったシステマ・インストラクターも教えているし、システマと全くかけ離れたところでも教えられている。
この技術は上で紹介したようなロシアのシステマの射撃技術そのものではなく、日本の剣術の姿勢を下げて斬る技法を参考に開発されたという。
具体的には次の動画を見てほしい。James Williamsによる技術解説動画で、元となった剣術技法も一緒に見ることができる。





この技術は日本の銃関係雑誌でも時折紹介されてきたので、知っている人もいるだろう。
今や自衛隊でもこのポジションでの訓練が行われている。


自衛隊によるモディファイド・プローンの写真 陸上自衛隊 第50普通科連隊創隊2周年記念行事-05


もはやシステマ・インストラクターや剣術との関わりを知る人のほうが少ないかもしれない。

*1:Jamesの説明。エントリ最後の動画説明文による。

*2:Sonny Puzikasの説明。Warrior Talk Forumsの書き込みから。