刀槍から徒手までさらに充実『続・中世ヨーロッパの武術』

西洋の剣や剣術について語るならまずはこれ『中世ヨーロッパの武術』 - 火薬と鋼で紹介した本の続編が出版された。

続・中世ヨーロッパの武術

続・中世ヨーロッパの武術

前著もかなりの情報量があったので、まさか続編が出るとは思ってもいなかった。
今回も多彩なヨーロッパの武器や武器の技法、それに地域ごとの流派についての記述があり、素手での格闘技術についても紹介されている。また、ヨーロッパ以外のペルシアの武器と武術についても紹介している点は、日本語の他の類書にはまず見られない、えがたい知識だと言っていいだろう。
今回はコラムとして「聖職者と武器」「人骨に見る武器の威力」「実在の名剣」「剣の握り方」「剣の製作法」など、西洋の剣や剣術に興味がある人にはありがたい話が散りばめられている。特に製法については、西洋剣の剣身は鋳造で作られているといった誤解も広まっているから、もっと多くの人に読まれるべきだろう。
技法について言えば、訓練法やケープ、盾を使った技術、二刀流、騎乗での戦いなど知られていない技術が豊富に含まれている。騎乗での関節技や手綱を使った拘束も興味深い。「中世」とタイトルについているが、今回は中世以降の技も紹介されている。ナポレオン時代の騎兵のサーベル術や銃剣術もあるし、戦争の技術以外の決闘の技もある。
前著とあわせて、ヨーロッパの伝統的な武器・防具や武術について知るためには無くてはならない本だ。