昨日に引き続き、シャベルの格闘技術の話をしよう。
第一次〜第二次世界大戦中の白兵戦でシャベルが使われたことは、この種の戦場のエピソードや軍隊格闘技に興味がある人には知られている。そして昨日紹介したようにソ連軍、それもスペツナズで武器として使われていることも知られている。ロシアにはシャベル術を指導する団体がいくつもある(色々あるロシアのシャベル格闘術 - 火薬と鋼)
しかしこうした例と比べてアメリカ軍でシャベル格闘が正式に訓練に取り入れられたのが比較的新しいことだとは知られていない。
米軍の格闘技術としてシャベルが正式に指導されるようになったのは、1971年以降の教本(Combatives Field Manual FM 21-150, 1971)からである。
それ以前も使われることはあっただろうが、正式にマニュアルに掲載されるようになったのはこれ以降のことだ。これは身の回りにある武器ではない品を武器に使う応用技術である。その後、米軍の格闘技は改良を重ね、2000年代にはブラジリアン柔術を取り入れて大きく変化したが、シャベル術の記述は1971年からほとんど変わらず残っている。
U.S. Army FM 3-25.150 Combatives (2002)よりシャベル(Entrenching tool)の例
シャベル格闘の訓練風景。
60年代から採用されている三つ折りになるシャベルM1967はヘッドを90度折りたたむと鍬のようになることから、その状態で戦う技術もある。