人は首への手刀で気絶するか

「人を気絶させる」ミステリの基礎スキルがハードル高い - Togetterで、首へ手刀を当てて気絶させることへの言及があったので、それについて書いておく。
首、それも側面に手刀を当てて気絶するメカニズムは、迷走神経(vagus nerve)への打撃で気絶すると説明されていることが多い(首の後ろ、延髄ではない)。これが首を圧迫する(絞める)ことで起きる頚動脈洞反射と同じものかどうかはよくわからない。状況によっては首経由で頭部を揺らしたことで脳震盪を起こしている可能性も考えられる。この機序について信頼性のある研究があるかどうか以前探したのだが、みつけられなかった。
ともかく実際に首側面の特定部位への打撃で一瞬にして気絶するということは武術の世界では知られている。
手刀・チョップ以外の打撃でもこの部位を打つ武術がある。英語圏では頸部に限らずこうした神経を打つ打撃を“nerve strike”と呼んでいる。
映像に残っている例もある。具体的なコツ、テクニックを解説している資料もあるが、そちらは物騒なので紹介しない。
次の動画はパンチがたまたま首側面に当たった事例。

下の動画は埋め込みでの再生ができないのでクリックしてYouTubeで見てほしい。

問題は、「この技術はどのように習得できるか」「リスクはないか」ということだろう。
護身術や武術でこの部位への手刀などの打撃技を教えている例は結構あるが、確実な効果を得られるように練習するのは難しい。何より首への打撃は技を受ける相手にリスクがあると考えた方がいいだろう。ぶっつけ本番で使うのも試みにやるのもお勧めはしない。