システマより:テンションを移す

先日、システマ多摩の岸インストラクターが公開したザイコフスキー師のデモンンストレーションの動画から。
押さえつけている側が押さえきれず、逆にバランスを崩される。

同様の練習は過去、ザイコフスキー師が来日した際のセミナーでも行われた。
最初はどのようにやるのか勝手が全く分からなかったが、その後理解が進んだ(というより近いことができるようになっただけで、その辺課題がある)
私の理解―というより私個人が得た感覚は、システマでバランスを制する精度の話 - 火薬と鋼で書いた話とかぶる。
こうした練習ではリラックスした上で自分や相手のテンションについて細かく把握できることが前提で、それができていないと押し込まれる。
ここで求められる精度はかなり細かなものだ。相手の手や拳、できれば指ほどの範囲の中でテンションの偏りを感じ取れればいい。
そして人に押される状態でも受動的になってから相手に働きかけようとするのではなく、能動的に受ける。
能動的に受ける際の自分の身体の変化は極めて小さなものだが、適切な意識と感覚で行うと相手の全体に作用することが可能になる。
接触する前から相手のテンションを制御する意識ができていると、相手に制されることなく相手を制することができる。
この練習で得られる感覚は他の多くの練習で利用できるが、自由度が高い状況になるほどうまく活用するのは難しくなる。
私の程度だとあまり使いこなせていない。