アメリカ人による日本武道小説『Tengu - The Mountain Goblin』

Tengu: The Mountain Goblin

Tengu: The Mountain Goblin

しばらく前にシステマのクラスで話題に出した小説を紹介しておく。
アメリカでも武道・武術を扱う小説がある。その中でもジョン・ドナヒューという作家によるものは有名だ。
ジョン・ドナヒューは複数の日本武道を長年学んでおり、空手、剣道の有段者。剣道解説書Complete Kendoの著者の一人でもある。
Complete Kendo (Complete Martial Arts)

Complete Kendo (Complete Martial Arts)

今回紹介する本Tengu - The Mountain Goblinは、コナー・バーク武道スリラーというシリーズの第3作だ。
コナー・バークはこのシリーズの主人公で、大学の非常勤講師をしながらヤマシタという日本人の先生に日本武道を学んでいる。
スリラーと言ってもホラー小説の意味ではなく、サスペンスと言ったほうが日本人にはイメージしやすいだろう。
主人公はシリーズの中で日本武道と関わりのある様々な犯罪、事件と対峙するのだ。
本作では「天狗」と呼ばれるテロリストにして武道の達人である人物を追う。
主人公コナーは米軍特殊部隊に武道を指導している。やがて主人公は、作品中で発生した殺人や誘拐事件の背後にアルカイダとつながりのある日本人テロリスト「天狗」が関わっていることを知る。「天狗」はかつての大日本帝国の文化や精神が滅んだことを嘆き、欧米にその責を償わせようとしてテロリストを養成しているのだ。誘拐事件との個人的なつながりからコナーとヤマシタは「天狗」を追うことになる。
戯画化されたような日本イメージではないし、アクションもハリウッド映画的なマッチョなものではない。海外の日本武道愛好家にも評価されている。
しかしタイトルのように天狗をマウンテン・ゴブリンと訳されるような微妙な居心地の悪さも感じてしまう小説である。
この本以外にコナー・バーク武道スリラーとして次の本が出ている。


第1作
Sensei

Sensei

第2作。
Deshi (Connor Burke Martial Arts Book 2) (English Edition)

Deshi (Connor Burke Martial Arts Book 2) (English Edition)

第4作。
Kage: The Shadow A Connor Burke Martial Arts Thriller (English Edition)

Kage: The Shadow A Connor Burke Martial Arts Thriller (English Edition)

第5作
Enzan: The Far Mountain (Connor Burke Martial Arts Thrillers)

Enzan: The Far Mountain (Connor Burke Martial Arts Thrillers)