「古流武術」という言葉について

Twitterでみんみんぜみさん(@inuchochin)が「古武道」の定義アンケートの後、類語も含めて解説をまとめている。

ここで言及のあった「古流武術」について、昼休みを使って古い使用例を簡単に調べてみた。
まずは1957年10月の『体育學研究』第2巻第7号に掲載された富木謙治の日本体育学会発表の内容から。

「およそ古流武術を現代教育のに 生かそうとするとき次の二つのことを解決しなければならない」
CiNii 論文 -  新しい体育としての「柔道体操」の意義並に教育体系

同発表に「古流柔術」も使われている。
同様に1963年8月の『体育學研究』第8巻第1号の日本体育学会発表の内容にも登場している。

「古流武術は3つの体系に大別される」
CiNii 論文 -  合気乱取法の意義と方法 : 第2の柔道として生まれた新しい競技

続いて書籍では1972年の植芝吉祥丸『合気道入門 1の力で10の敵を倒す法』(光文社)に登場する。

道祖は、古流武術が、古い伝統と形式にばかりこだわっていることに満足できず、ただ武芸というにとどまらずに、精神的な「道の真理」と和合させ、現在の合気道という新しい武道を築いていったのである。

  • ちゃんと調べればもっと古い用例はあるはず。
  • 富木謙治氏の用例は体育としての近代武道との対比で過去の歴史を説明するために使われている語である。
  • 植芝吉祥丸氏の用例では、この本の年より初出が古い可能性がある。この用例は現存する他の流派との対比のために使われている。
  • この後の例としては保江邦夫氏の論文がある(CiNii 論文 -  古流武術にみる文化の伝播と散逸
  • 簡単に調べただけなので少数の例だが、奇しくも全員合気道関係者(関わり方はぜんぜん違うが)。