Twitterでの話題に関連してちょっと書いてみる。
- ナイフ、あるいは小型の刃物で攻撃してくる人間に遭遇した際にどうするかという問題がある。
- 犯罪が起きる状況について。
- まず護身の話題で想定される状況は現実の犯罪と合致しないことがある。
- システマのインストラクターのコンスタンチン・コマロフ師は「万が一、プロのヒットマンに狙われたら?」「悪漢に突然襲われたら?」こうした問いに対して「そういう発想自体、映画やテレビの影響に過ぎず、非現実的である」とばっさり斬り捨てている*1。
- また、現実には顔見知りによる犯罪がかなり起きているが、この種の話題の時には通り魔的犯行しかイメージしない人がいる。
- 極端な場合は通り魔なのに戦いは互いに準備万端整った状態で始まる正々堂々の果し合いだったりする。
- もちろん恨みを買わない人間関係とか注意力、コミュニケーションなど実際の攻撃が発生する以前の留意点はあるがそれは措く。犯罪が起きる前の状態は重要だが、今回はそれが本題ではないため。
- 物取り目的などの犯罪の場合でも、想定している状況はどのくらい起こりうる事なのかの検討は必要。
- 「攻撃前に気付くか」「気付いたとしてどう対応するか」という早期警戒の段階の練習も求められる。
- 知識の話。
- ナイフに対処する場合、犯罪が起きる状況についての知識以外に、攻撃部位の知識が求められる。
- どの部位が攻撃されやすいか。どの部位にどのような攻撃を受けると危険かという話である。
- これは実際の犯罪の事例や統計的、医学的知識が必要で、根拠のない話はあまり聞かなくて良い。
- 例えば出血の問題について古い知識はあてにならず、ちゃんとした調査研究に基づいた情報のほうが良い。
- 犯罪者がナイフでどのように攻撃するかは文化の影響を受けるため、海外の事例や歴史的事例をそのまま持ち込んで良いとは限らない。
- これらの知識はどのような技術を重視する必要があるかという話と関連している。
- 逃げることについて。
- 逃走はうまくいけば理想的だが失敗した時のリスクはある。
- 逃げ道がない場であるとか相手の足が速いとか逃げるのに適した靴・着衣ではないなど、逃げられない状況は様々なものがある。
- いずれにしても逃げられなかったらどうするかは想定しておかなければならない。
- 技術の練習の話。
- ナイフへの対処のような護身的な格闘技術の練習はスパーリング重視、シナリオ重視、型重視など様々なものがある。
- それぞれ得失があり、複数を組み合わせている場合もある。
- 既存の様々な格闘技・護身術の対ナイフ技術の多くは批判の対象になってきた。しかし、そうした批判のいくつかは無理解や誤解から来ていることもある。粗探しが現実離れした理想を前提としていることもある。信頼のおける評価を知るのは難しい。
- SNSでの議論では、論じられている技術、状況についての理解や共通認識がないままに批判する人がいるのでしばしば無意味な議論になる。そういうすり合わせに向いていないのかもしれない。
- 道具の話。
*1:『秘伝』2014年5月号