システマのセミナー「THE "EDGE"」からナイフデザインを考える

11月23日・24日はシステマセミナー「ヴラディミア・ヴァシリエフ in 東京 THE "EDGE" セミナー2019」に参加した。
2日間に渡ってナイフの扱いを中心とした内容の練習を行ったが、ナイフを抜く動作も重要なポイントだった。
レーニングナイフをポケットやズボンに差し、シャツでハンドルを隠した状態から抜く動作を含む練習がかなり含まれていた。
こういう練習ではナイフの大きさ・形状にとらわれずに自由に動けるのがベストだが、それでも練習の中でハード面での問題は気になった。
要するに動きながら隠したナイフを抜くというアクションを前提とすると、どのようなデザイン・形状が良いかという問題だ。


今回のセミナー初日前半に長く引っかかりやすい形状のトレーニングナイフを使って苦労したので途中で抜きやすい形状のトレーニングナイフに変えて練習した.
2日目はその経験を踏まえてさらに抜きやすいトレーニングナイフを持っていって色々なトレーニングナイフで練習してみた。
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セミナーで使ったトレーニングナイフ4本。
左が今回のセミナーに向いていない引っかかるナイフ。最速で抜けるのは一番右。
左から二番目のリコン・タントー型は悪くないがハンドルが長い分衣類に引っかかりやすく、また実際のリコン・タントーはハンドガード付きなのでこれより更に引っかかる箇所がある。
右から二番目はMerc WorxのGolgotha型は全体のシルエットのおかげで凹凸があるわりには抜きやすい。難点は先細りしているハンドルエンドが抜くとき服に絡みやすいこと。
ただし、今回はあくまでシース無しのトレーニングナイフの経験であり、限界がある。
シースありだとまた違う要素、考え方が出てくることになると思われる。


セミナーでの経験から、隠し持って目立たず速く抜くためのナイフについてまとめると以下のようになる。


ブレードについて:
まずリカーブドや凹凸がある形状はNG。先細りで凹凸の少ない形状が良い。
ダブルエッジのほうが便利だが(攻撃できる方向が増えるので)、片刃でも問題はない。
刃長は12cm以下(4.5インチ程度)が良いが、これは技術・体格で変わると考えられる。
立ったまま扱うならもっと大型のナイフでも良いが、座ったり寝転がったりする場合はナイフ収納時に刃が動作の妨げにならないようにある程度短いナイフを選ぶことになる。
ハンドガードについて:
直線的なダブルガードは不向き。ガードが衣類に引っかかりやすい。抜く際にシースや衣類に引っかからない大きさ・形状なら可。
ハンドガードとその周辺の角度・輪郭が重要で、これはサムランプがあるガードレスのナイフにも言える。
ハンドルについて:
抜く方向に手・指がかかること、しかもその形状は咄嗟に扱いやすく、また衣類に引っかからない事が求められる。
ナイフを掴むと即使えるハンドル形状であることが望ましく、シースに隠れていない部分でナイフを扱えるように掴める必要がある。
長すぎると邪魔だが短すぎると咄嗟に握りにくい。
ハンドルの厚さは薄いほうが隠しやすいが、あまり薄いと扱いにくい。
またハンドルエンドは丸みがあるほうが望ましく、尖ったもの、突き出たものは引っかかりやすいという問題がある。
留意点として、ハンドルの評価は一要素だけで決まるわけではなくハンドル全体の形状で考える必要がある。
先細りのハンドル形状だとナイフを抜く際に指のかかりが悪いが、これも他に指のかかる部位があるなら評価は変わる。


以上の要素を踏まえ、隠しやすさと抜きやすさを両立したナイフとしてまず思い浮かんだのはWilliams Blade DesignのHZK003だった。
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このナイフは咄嗟に握りやすく、ナイフを抜く際に衣類や装備に引っかかる部分が小さい。
他にも該当するナイフはあるが、既存のナイフは今回の経験や好みの問題から足りない要素・過剰な要素があるので、より理想に近いナイフを探し求めたい。