ホーボー・タクティカルという流行

Twitterで少し書いた護身術・護身用品の流行についてこちらにまとめておく。
2010年代後半から、北米の護身術ではミニマリズムと言うか、安価で手軽な品を使った技術が流行している。
(それまで存在しなかったわけではなく、その種の技術自体は古くからある)。
安い用品を護身用に転用して持ち歩くのは、法規制への対応、周囲に警戒されない、費用がかからないといった利点がある。
有名なのはエドカルデロンが広めたフルーツナイフ・コンセプトだ。
エドは安価な果物の皮むきナイフに手製の鞘を付けて護身用に携行し、使用する技術を指導した。
使用するのは下のVictorinoxのシェーピングナイフのような小型・薄刃のナイフだ。
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https://www.victorinox.com/jp/ja/p//-/p/6.7503
このナイフを改造し、逆手持ちで人差指がかけやすいようにハンドルの一部を削ること、コード付きのカイデックスシースを作って携行すること、そして護身のための技術を教えたのである。
下は加工例の写真。逆手で刃が自分を向くように持った際に人差指がかかる部分を削っている。
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The (Tactical) Fruit Knife Craze | The Martialist
下の動画はこのフルーツナイフを使うLibre Fightingの技術だ。
www.youtube.com
こうした身の回りの捨てても惜しくない安価な品を護身用に転用する事はhobo tacticalと呼ばれている。
ホーボーは日雇い労働者やホームレスを意味する言葉でWikipediaに項目がある。
ja.wikipedia.org
hobo tacticalは、隠蔽に適した隠しナイフ等のコバート・ウェポンではなく、身の回りの品を咄嗟に武器化するインプロバイズド・ウェポンでもなく、安価な日用品や工具に予め武器に適した改造を加え、携行に適した収納法を用意し、使用技術を訓練しておくものだ。
しかしこうした流行の元にあったDIY精神のようなものは、後々これらのコンセプトの改造品に合わせた専用の商品が発売されるにつれて薄れていった。
例えば小型ポーチに硬貨を入れてブラックジャックに転用するのは専用のHobo Sackという商品になった。
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Hobo Sack - Sarape | Hobo Tactical
フルーツナイフを武器に転用するのは、専用のナイフL-Viaを産んだ。
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Kopis Designs | KnivesShipFree
元は使い捨てても良い安価な品を使うという着想から始まったが、それでも高度化・専門化・商業化からは中々逃れられないのかもしれない。