東京大学総合研究博物館「都市-アーケオロジー」

都市−アーケオロジー 東京大学総合研究博物館

東京大学総合研究博物館の特別展示「都市-アーケオロジー」を見てきた。
中国の約五千年前の良渚遺跡の発掘成果を中心とした展示で論文形式の展示となっている。
(abstractとかdiscussionとかある)
展示内容には文字情報も多く、発掘されたものや映像、再現したダムの土嚢や玉器もある。
良渚文化は高校世界史に出てくるほど知名度が高いが展示内容はこれまで知らないことが多く非常に興味深かった。

全体の構成は以下のようになっている。

要旨 本展示の趣旨
序論 資料と方法:良渚遺跡群の考古学的背景
   問題の所在「人骨が加工されたのは、ここが都市だったからか?」
本論 資料01 巨大ダムの証拠となった土嚢
   資料02 井戸から示される人口集中と環境汚染
   資料03 玉器製作工房の社会的背景
   資料04 特異な加工人骨群と動物骨の加工痕
   資料05 玉琮の変遷と社会的背景
   資料06 刻画符合土器と文字の起源
   資料07 焼失した貯蔵庫と米の由来
   資料08 樊城堆文化の鼎と良渚文化の鬹
   資料09 雑穀を食べていた「異邦人」
   資料10 中国文明の成立と良渚文化の記憶
考察 都市の特質と文明の起源
   西アジア初期都市との共通性
補遺 (映像資料)玉器再現実験、現代の玉器工房など
   (分析装置)加速度分析装置、安定同位体質量分析装置

残念ながら撮影不可で図録もないので、記憶を元に書いておく。
頭蓋骨から作られた杯、ダムや井戸など水利システムと膨大な土砂を移動したダム・宮殿、水質汚染感染症などの都市の問題、発掘された炭化米がインディカ米、ジャポニカ米両方あり、9種類もあったこと、骨の分析からわかる雑穀を食べていた異邦人の存在、後の中国文明につながる玉琮と時代による変化、出納記録などの文字の起源としての可能性がある刻画符合土器、他の文化との比較などトピックも豊富だ。