カランビットを求めて

 実は、現在カスタムナイフメーカーにカランビットをいくつか注文している。毎回カランビットの解説を付与するのも厄介なので、カスタムナイフ注文事例 デビッド・モージェで書いた話より詳しく解説しておくことにした。

 カランビットは英語圏では"karambit"、"kerambit"等と書かれる。フィリピン、インドネシア、マレーシアで主に使われる伝統刃物であり、格闘の武器としても使われる。鋭い切っ先、鎌のように湾曲した刃と、ハンドル端にあるリングが特徴。武器として使う場合、逆手に持って人差し指をリングに通して持つことが多い。
 彼の地の格闘技は欧米でも評価されていて、カランビットもWWII以前からアメリカに伝わっていたとされているが、定かではない。戦後の例では、ブルース・リーとの交流や映画で知られるダン・イノサントもその技術を教えている。1990年代後半にスティーブ・タラーニがこの技法を積極的にアピールし、その後アメリカのメーカーやファクトリーがカランビットを作るようになってより幅広く知られるようになった(ただし、格闘技やナイフに興味がある層に限定されている)。
 余談だが、映画「ハンテッド」(2003年)でハラム(ベニチオ・デル・トロ)がカランビットを使うという案があった(ナイフ格闘インストラクターの案だが、トラッキング技術インストラクターのトム・ブラウンJr.の意見で潰れたらしい)。もしその案の通りだったら、トラッカーナイフではなくカランビットが売れるようになっていたかもしれない。

 さて、ここからは全く個人的な話になる。各メーカー/ファクトリーで作られるようになったカランビットだが、何を選ぶかとなると難しい。ハンドルがある程度大きくなければいけないし、ダブルエッジのものが望ましい。ブレードは直線的なものよりカーブがある程度強いほうが良い。また、バックブレードにはセレーションや切り欠きがあったほうが良い(下記URLの写真参照。このセレーションはノコギリに使うのではなく、相手に引っ掛けるために使う)。
http://www.karambit.com/the_parts.htm カランビットの部位解説
 こうした点を踏まえて、デザインの試行錯誤をしてカスタムナイフメーカーに依頼をしている。その結果どういうものが完成するかは今後紹介していく予定だ。