港区立郷土歴史館 「江戸の本 -本からひもとく人びとの営み-」

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白金台の港区立郷土歴史館 へ。

企画展「江戸の本 -本からひもとく人びとの営み-」に行ってきた。
神明町(現・芝大門一丁目)に書物問屋(学問的な本の問屋)・地本問屋(娯楽的な本の問屋)があった繋がりから江戸の書物文化を展示する企画展だ。

基本的には同館所蔵の江戸時代の本をテーマごとに展示・紹介している。
テーマは「手習 文字や基礎を学ぶ」「学問 専門知識の共有」「実用 人びとの生活の参考書」「案内書 名所をめぐる」「趣味・娯楽 江戸の流行」「読み物 小説や絵物語」「写本 借りて写して読む」「災害・外圧 本で伝わった情報」「開国 急増する西洋関連本」

書籍流通についての展示もあり、問屋・本屋・貸本屋についても資料が出ていた。江戸後期で銀1匁5分(約3,000円)で販売された本が貸本屋では新刊なら銭24文(約700円)、古本なら16文(約500円)で借りる事ができたとか、貸本屋は19世紀初頭には江戸だけで600~700軒あったといった解説もあった。

これは桃太郎を元にした作品群の展示の中の一つ『昔噺祖父婆』。
舌切り雀、花咲か爺さん、桃太郎など昔話を全部まとめて一組の善人の老夫婦が全てに関わった話にしている。お爺さんお婆さんが出てくることが多い昔話ならではのクロスオーバー。

写本についての展示から、みんな大好き『雑兵物語』。
同書の国会図書館蔵本も比較のために写真が出ていた。

旧公衆衛生院の建物。
江戸の出版流通やさまざまな本、儒学から蘭学、観光や日用、読み物や趣味など多彩な本が展示されており面白い内容だと思うのだが会場にいたのは私一人。ゴールデンウィークでみんな他に行っているのだろう。今の時期、常設展示も施設も見所が多い港区立郷土歴史館はお勧めだ。