新しいナイフの話ばかりでなく、少し前のナイフの話もしよう。Strider Knivesという有名なタクティカルナイフのメーカーがある。Striderは1994年にアメリカ海軍にナイフを提供し、Naval Special Warfare Group 1で使用された。この一件はやがて創刊間もないTactical Knives誌*1で採り上げられ、Striderが知られる一因ともなった。
提出されたナイフはG10ハンドルのWBとBGである。WBは通常のサイズ以外にブレードが7インチに延長されたモデルも提出されている。
この写真のナイフがその7インチのWBだ。海軍提出用として10以上20未満ほど作られたとされている。その中でもこいつの来歴は変わっていて、もともとはSEALSで名を上げたDick Marcinkoに贈られたものだ。Dick Marcinkoから彼の友人に贈られ、更に譲られて私のものとなった。Dick Marcinkoがこのナイフを持っている写真(サイン付き)も一緒だ。
ナイフとしては扱いやすいデザインではないと思う(同じスタイルならBTのほうが完成度は上だろう)が、各部の加工や形状はStriderの変遷の歴史を感じさせてくれる。ハンドルはG10を接着したもので、ピンもG10でできている。タングは全く露出していない。ハンドルのラインは後のG10ハンドルとは全く異なり、フィンガーチャンネルはない。ブレードはホローグラインドされたATS-34で、刻印等は後のモデルと微妙に違う。シースはEagle社製で、ナイロンと謎のライナー(レジンでフェルトを固めたもの?)でできている。かなりタイトな造りだ。
*1:Tactical Knives, vol. 1, no. 2, p. 68-73