WASPナイフの効果を分かってない人間が多い

 以前、WASP Injector knife - 火薬と鋼で紹介したナイフの危険性について、イギリスのデイリーメールで記事になり、それがエルエルで紹介された。
http://10e.org/mt2/archives/200807/230254.php
 そしてそれが更に痛いニュースで取り上げられている。
痛いニュース(ノ∀`) : 刺した対象を凍らせ破壊するナイフ、殺人目的での使用を警戒…イギリス - ライブドアブログ
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 この記事を取り上げたサイトの大半はメディアリテラシーも科学的思考能力もないことがよく分かる。そもそもの情報がデイリーメールという時点でやや疑うべきだが。
 もともとWASPインジェクターナイフは、ブレードから発射された気体の膨張圧力で殺傷力を高めたものだ。刺した周囲の組織を凍らせるのは副次的な効果で、"圧縮ガスの効果は、水中で使用される際に浮上する間の膨張を引き起こすだけではなく、陸上でも海でも注入先周囲全ての組織・器官を凍らせる"と製造会社は謳っている*1。「凍らせて破壊」「凍らせて粉砕」などという説明はない。大体、動画見れば凍らせるより破裂させていることが分かりそうなものだが、なぜか記事の「凍らせる」が注目されてしまった。殺傷力が高くて警戒されるのは事実だが、その効果の説明や記事タイトルはおかしいと思う。
 先日発売されたSWAT Magazineでも取り上げられていて立ち読みしてきたのだが、やはり「凍らせる」部分は重視されていなかった。また、先のエントリで紹介したKnife WorldのニュースレターではCO2以外のガス(毒ガス)を利用するという、より物騒な可能性について言及されていた。
(7/25あまりに適当だったので帰宅後修正・加筆)

*1:公式サイトのAbout The WASPより