XM25の記事

http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200809290806
 はてブを見ていてこんな記事をみつけた。ちょっとつっこみどころのある記事だ。
 まず誰でも分かる点。XM25は「小銃」じゃない。グレネードランチャーであり、厳密にはエアバーストウェポンとは言うが、これを小銃とみなした例はこの記事が世界初だろう。
 そもそもこの記事の元ネタはMilitary.comやDefense Techに掲載された記事だ。
Military Daily News, Military Headlines | Military.com
 この記事はあちこちで引用・転載されているのでどこで読まれていてもおかしくはない。
 しかしこの日本の記事を書いた人間はどこで間違えたのか変な記事にしている。

 「XM29」では20mm炸裂砲弾が使用されていたのに対して、「XM25」では炸裂砲弾の口径を25mmに拡大することで破壊力を向上。更に、兵器本体に関しても大幅に小型軽量化することにより、小銃としての機動性を大幅に向上させることに成功した模様だ。

 この説明の雑さはひどい。XM29はOICWグレネードランチャーの機能だけにしたXM25と違って当然だが、これだけ読んでその事情まで分かる人間はいない。小銃なんて書くからこういう分かりにくい文章になる。


 さて、記事のおかしさはさておきXM25の最大の問題点は高額であることだ。記事に書かれたM4とのコスト比較はあまり意味がない。運用が違うし、光学機器が使えなくなってもM4は扱えるがXM25は役立たずになる。もう一つの問題は、XM25を持った歩兵と別に従来の小銃や分隊支援火器を持った歩兵とを組み合わせた運用をする必要があること。開発経緯からも分かるようにXM25はOICWのグレネードランチャー(+光学装置)の機能だけ切り離したもので、小銃を持った歩兵と組み合わせてOICW一挺分になるのだ*1。更にXM25を使う兵士は自衛用に別の火器も持たなければならないと考えられている。しかしそうした運用が効果的なのかどうか。コストに見合ったものになるのか。今後の検証次第だろうが、単純に「史上最強」なんて評価をしている人間はそうそういない。

*1:XM25を持った歩兵が更に小銃も携行するという手もあるが、かさばるので多分やらないだろう。