銃を隠し持つ人間の見破り方

相手がピストルを隠し持っているかどうかを見破る9つのテクニック - GIGAZINE
Edward Tufte forum: Megan Jaegerman's brilliant news graphics元になったイラストレーターの仕事を紹介する記事


こんな記事があった。
海外では、この手のテクニックについてはこれ以外にも記事があるが、シンプルなMegan Jaegermanのイラストほどわかりやすいものはないだろう。
あまり分かりやすくはないのだが、類似の記事を紹介したい。
これから紹介する記事は、上の記事にはない情報も含まれている。


http://www.policeone.com/news/1640166-Officer-Survival-Spotting-Armed-Suspects/
これはChuck Remsbergが書いた武器を持った容疑者の監視方法についての記事だ。
Chuck Remsbergは、警察官向けの危険への対処方法、パトロールや逮捕等の技術についてのパイオニアだ。ストリート・サバイバルというセミナーで知られている。
この記事は彼の経験だけではなく、アメリカのSS(シークレットサービス)制服部門アカデミーの技術軍曹Jeffrey Kleinsmithの指導内容が元になっている。
彼の指導によりワシントンDCでは6ヶ月間で300挺以上の銃器を発見し、目標地域の暴力犯罪を15%減少させたという。
以下、記事の項目に沿って銃を隠しもった容疑者を発見するための注意事項を挙げていこう。

1.

潜在的容疑者を観察する際、利き手を見定めること。
通常、利き手ではないほうに腕時計をつけ、利き足ではないほうの足で踏み出す。一般に人は利き手でほとんどの作業(たばこに火をつける、誰かを押しのける、何かを持ったり動かしたりする、サイコロを振る)を行う。
手がかりが無い場合でも「80%から90%は右利きだ」とKleinsmithは言う。

2.

拳銃を携行する犯罪者の圧倒的多数は、ヘソとヒップの間、ウエストバンドの右前部に銃を押し込んでいる。
「彼らは銃を抜けるようにしておかなければならない」
「彼らは映画で銃がその位置にあるのを見てクールだと思い、また銃を持っているところを仲間に見せやすくする」と言う。
次に多いのは腰である。Kleinsmithは「しかしこれは不便なため比較的少数だ」という。ほとんど全ての例で隠し持たれている拳銃はホルスターに入れられていない。

3.

「容疑者が移動する際は、'安心感'*1に注意するように」とKleinsmithは助言する。
銃はしっかりと固定されておらず、容疑者は常に銃が落ちないか危惧し、(銃が元の場所にあるか確認するため)意識的にあるいは無意識に定期的に銃に触れる」
強盗が標的に接近する際の防犯カメラの映像でしばしばこの様子を見ることができるし、「警察官もまた私服の際に確認のため(ホルスターがあるにも関わらず)同じことをする」という。
Kleinsmithの経験では「街の悪人でホルスターを持っていたのは一人だけ」だったという。
彼が関わった銃器回収班が街から集めた1301挺の銃のうち、ホルスターつきは7挺だけだった。 
隠匿された銃器を発見する際に優れた観察スキルをもつニューヨーク市警の捜査官Robert Gallagherが1,200挺の銃を回収してもホルスターをみつけるのは「極めて稀」だったとKleinsmithは言う。
Kleinsmithは「もし君が空のホルスターをみつけたなら」「それに収まる銃は半径20フィート(約6m)以内にある」と予言する。

4.

安心感と密接に関連するのはKleinsmithが「身体を守る動き」と呼ぶものである。
これは武装した対象が走ったり突然動き出した時に顕著である。隠し持った銃を抑えるため、腕が硬直し、腕の振りが抑えたものになる。
容疑者は銃を固定し、滑り落ちる危険を最小にするため「ただ歩いても、銃の反対側の足は本調子で動いているが、銃のある側の足は具合が悪いかのように短く動くのを見ることができる」。
また、腕は銃に対して「人々が容疑者に接近し始めた時、保護的な動き」をする可能性がある。
接近されると、武器を持った犯人は、銃のある側をそらすかもしれない。
 Kleinsmithは「サイコロを使ったゲーム(賭け)は、武器を持った人を監視する良い機会だ」とする。
「彼らはしゃがみ、立ち、サイコロを振り、金を回す。動きは隠した武器を正確に示す助けとなる」

5.

当然だが、隠し切れないふくらみを探すこと。
Kleinsmithは「銃はフレキシブルではなく人体の形にも合っていないので、突き出た形で明らかになる可能性がある」と言う。
銃の輪郭が完全に隠されていても、タイトな服はハンマー、グリップ、銃口といった突起を示す可能性がある。

6.

対象の衣服を観察する際に自問すること。
季節に合っているか? 寒い天候で、コートを開けられるのか? 銃を撃つ手だけ手袋を脱いで、片手しか手袋をしてないのか?
ベルトがベルトループを通っておらず、隠した銃を保持できるようになっているのか? コートが片側の重さで下がっていないか?
歩く・走る時、まるで何か重いものがポケットにあるかのように、コートやジャケットが足元で弾んでいるか?
ゆるいフードは、紐にしわが寄って、重さで下がっているように見えるか?
小さな銃を隠せるように片方の靴が大きく、ミスマッチになっているか?
イカーにとって銃を隠す場所として好まれているのはブーツだとKleinsmithは言う。
また、襟の中の特別なポケットに持つこともあり得る。
「バイカーといる女性に注意すること」と彼は警告する。
あまりに多くの警官が女性を脅威とみなさない傾向があるため「たいてい女は男のために運ぶ」。

7.

車両停止の間、牽引を考えたらすぐに乗り手を観察すること。
「肩を見ろ」とKleinsmithは言う。
肩が上に動くことは、ウエストバンドから銃を抜くことを示す。
肩が下がることは麻薬、酒、銃などを座席の下や隙間に隠すことを示す可能性がある。
もしKleinsmithが正当化として挙げた徴候を利用するとしたら、「君は君の観察について明確にできなければならない」とKleinsmithは警告している。
理想的には、いくつかの手がかりを特定できるだろう。
「停止が行われた理由に関して君が観察したすべての特徴、すべての事実を書き留めろ。決して単なる勘にしないように」


また、以上の成果を利用して銃を隠し持つ際に自分自身の動きを意識すること。
銃を持った犯罪者のボディ・ランゲージは、隠している武器について「より拡大されるかもしれない」ととKleinsmithは言う。
しかし警察官は、神経質な習慣や衣類の流行を共有する傾向がある。
知識がある人には、君が意図しない場で、君が武器を隠し持っていることを無意識に示してしまう可能性がある。


Kleinsmithはこう結論している。
武装しているかもしれない人に対する注意力を高める試みることは、君の観察力(―そして君の安全)を高めることができる」
「もし君が何を探しているかを知れば、武装した容疑者が君に見せるものを信じられないだろう」

町田による補足

以上の記事は、最初に紹介した図解の補足および抜け落ちたポイントをカバーしている。
例えばMegan Jaegermanの図解では全ての拳銃はホルスターではなくむき出しのままという前提だが、それにはこの記事のような過去の蓄積が根拠になっている。
同時に、自分が銃を隠し持つことを考慮する必要があるため、「発見方法」だけでなく隠し方と動き全般について知っていく必要があるわけだ。
また、犯人逮捕ではこうした観察ポイントは警察官の行動の正当性・合法性を示す根拠にもなる。

*1:security feelのこと。あまりいい訳ではない。