以前、ある図書館で小林泰而『考える本』(岩波ブックセンター、1986)という本を見かけた。
「はじめに」によると、著者は学校の校医で、病気で休んだ人に薬を渡す際に簡単な問題を宿題として出すことで休んだ損を取り返してあげようとしてきたのだという。
同書の問題は小学校5年生向けで、考える力を増進するような問題を集めたものだとされている。
気になるところがあったので別の図書館で借りてきた。
ほとんどの内容はかなり簡単な数学(算数)クイズで、魔法陣や確率の問題などが含まれている。
例えば下のように問題が示されて、ページをめくると回答が見える。
回答のページ。
ごく一部算数・数学以外の問題があって、その中にはひどい問題がある。
例えば次の問題だ。
この問題の回答はこちら。
これはひどい。
このようにとんちクイズのような問題が普通の数学クイズに紛れ込んでいる。
これはまだ笑える部類なのでいいのだが、もっとひどいものもある。
例えば141ページの「警察犬」という問題だ。
(警察犬)
警察犬は、いろいろな種類の仕事をしています。成田空港では、特別に訓練された警察犬が、海外からコッソリと持ち込まれる麻薬を、敏感な鼻で荷物の中から見つけ出しています。
さて、あなたは、この警察犬を正義感の強い、立派な犬だと思いますか。
設問自体かなりおかしい。
空港で麻薬を探知しているのは警察犬ではなく税関の犬だし、正義感云々に至っては犬を人間化しすぎだ。
その辺の認識を問う問題なのかと思ったが、回答はそれどころではなかった。
回答は以下の通り。
【警察犬】
人間の10万倍も敏感な鼻で麻薬を探し出す警察犬は、実は麻薬中毒になっている犬です。犬自身が麻薬を欲しくて探し廻り、その臭いがすると欲しがって吠えるのです。決して、警察のためや、正義のために働いているのではありません。
麻薬探知犬は麻薬中毒ではない。
麻薬探知犬 : 税関 Japan Customsにもあるように、麻薬のダミーのにおいで訓練を行っており、中毒だから探すわけではない。
確かに麻薬探知犬は正義のために働いているのではないだろうが、麻薬中毒とはひどい誤解だ*1
*1:捜査の際に吸引してしまう事故はある。サーチナ-searchina.netなど。