ヘビが飼い主を測る話を疑う。

仲里依紗のブログでこんな話があった。
http://ameblo.jp/ri---sa-bi-kaku/entry-10600083696.html
(Webarchive 本当にあった怖い話し|仲里依紗オフィシャルブログ「B型革命」Powered by Ameba

要するに大型のヘビが飼い主を食えないか、大きさを測っていたという話だが、どう考えてもおかしい。はてブを見ても信じているような人が多いが(あるいは真偽はともかく怖がっている/面白がっている人も多いだろう)、おかしいと思わなかったのだろうか。
まず、蛇はいちいち獲物の体長を自分と比較してから襲っているだろうか。直感的に考えても、動物番組や書籍を元にした知識でも、悠長に体を並べて大きさを測るというのは、ありえないことだと考えられる。野生の状態で肉食動物がそんなことをしていたら獲物になる動物は危険に気づいて逃げてしまうだろう。
それと、この話の展開にも疑問がある。最初に不可解な状況があって、途中で誰かの助言で逃げ出し、最後の説明で恐ろしい状況であったことが分かるというのは、都市伝説の典型の一つだ。例えば有名なwikipedia:ベッドの下の男は、今回の話と全く同じ構造をしている。


そこまで考えて、これは何かの都市伝説だろうと判断した。都市伝説検証サイトで調べてみたら、やはり該当する元ネタの記事があった。
https://www.snopes.com/critters/snakes/measured.asp
ここではパイソンの話として紹介されている(色々検索すると他のヘビにされているバリエーションもあるが、とにかく大型の蛇にされている)。
以下、snopes.comの解説を簡単に紹介しよう。
この話の問題点には次の3つがある。
・パイソンは食べる前に獲物を測らない。
・通常家で飼われる蛇で人間の肩と頭を飲み込めるものはいない。
・飼い主は、何週間も蛇が食べなければ診断に連れて行くだろう。
※オリジナルの話には動物病院に診せる部分がないためにこういうツッコミがあった。今回の仲里依紗の話に診察してもらったとの説明があるのは、この不自然さに対処したバリエーションだからだと思われる。
こうした問題点と、伝聞で多様なバリエーションが広がっていることから、事実ではないと判断できる。


 この話は、2008年2月にオーストラリアで野生のパイソンがペットの犬を食べたという事件が元になっているという。このペットを食べられた家族は、以前にもペットの猫やギニアピッグを蛇に食べられるという体験をしていると報じられた。都市伝説の話とはだいぶ違うが、身近な存在が蛇に食べられるという恐ろしい実話と文化的な蛇に対する恐怖感が根底にあってこうした話が生まれたと考えられている。