「ミハルス」についてのメモ

赤・青二色の部品をゴム紐でつないだカスタネットが、実はミハルスという名前だという話がまた最近広まっている。これは去年も話題になったトピックで、既に調べた人がいる。


ミハルスとは一体なんなのか - ネタ袋
最近のWikipediaの話も含めたまとめもあった。
赤青の板をゴム紐で括った木製打楽器=ミハルスは間違い?Wikipediaを鵜呑みするべきかというお話 - NAVER まとめ


過去にもう調べられた話で今更私が書く意味はないが、私も前にちょっとだけ調べていたので、その内容を書いておく。


・プラス白桜社については朝日新聞2005年04月29日朝刊(地方)に記事があった。それによると

林業が盛んだった戦後、現在の工場長の富沢健一さん(59)の父、捷(すぐる)さん(88)が製材所に勤めていたときのこと。村内の校長と親しかった東京の音楽学校の先生が「教材用にカスタネットを作ってほしい」と、頼み込んできたという。

とある。カスタネットの製造を始めた経緯についての話のみで、ミハルスとの関連についての記載はない。両者の関連についてはchinjuhさんのエントリのコメント欄に書かれた話がある。


ミハルスについては東京家政大学細田淳子氏がいくつか論文を書いており、そこで過去のミハルスについても紹介している。
ささやかな感性の育ちを観る : ミハルスへの年少幼児のかかわり
PDFファイル2ページ目に写真がある。

ミハルスは,千葉躬治(1904〜1995)によって昭和8年頃に創案された,両手に持って踊りながら打ち鳴らす木製打楽器である.(写真1)日本古来の「四つ竹」やスペインの「フラメンコ用カスタネット」をヒントにして考えられた.第二次世界大戦の前には,全国的に広く使われたようであるが,戦後は現在も使われる「ハンドカスタ」の出現により急速に姿を消してしまった.

この論文で、現存するのは製作者の千葉家に残っていたものだけで、黒いニスで塗られていたとある。


ミハルスを元に赤青二色の教育用カスタネットが生まれたという話が事実だとしても、形状の違いや実際使われている商品名・呼称から考えると教育用カスタネットミハルスと呼ぶという話は違うだろう。