大学の勉強になじめない学生のための5冊

大学図書館で司書をしていると、一年の冒頭から講義や大学生活になじめない学生とも話す機会がある。そうした学生は学生課の職員や相談役になる先生の世話になる場合もあるが、さしあたってノートの取り方や発表、レポートといった課題に必要なスキルについては、本から学んでもらうという道もある。
ここでは特に高校までの勉強とやり方が変化してなじめない学生のための本を紹介する。


よくわかるライフデザイン入門―大学生のための必須学習術

よくわかるライフデザイン入門―大学生のための必須学習術

この本は大学生活の送り方全般を解説した本。食生活の注意から講義のノートのとり方、発表方法や試験の受け方、就職活動の手引きまで幅広く扱っている。かなり初歩的な内容もあり、友達との会話の仕方についてまでフォローしている。とにかく勉強含めて大学生活そのものに慣れない人向け。


アカデミック・スキルズ(第2版)――大学生のための知的技法入門

アカデミック・スキルズ(第2版)――大学生のための知的技法入門

大学での勉強にまつわる技術全般(講義の受け方・情報収集・情報整理・レポートや発表など)を個別に解説した本。初歩的な内容から扱っているが、後々まで使える。一年生であれば、先生のタイプ別に使い分けるノートのとり方が大いに参考になるだろう。
アカデミックスキルズの解説、動画を掲載しているページがある。
慶應義塾大学 教養研究センター|アカデミック・スキルズ
慶応の下記のサイトを見ると情報リテラシーの内容の傾向も分かると思う。
KITIE - Keio Interactive Tutorial on Information Education


グループ学習入門: 学びあう場づくりの技法 (アカデミック・スキルズ)

グループ学習入門: 学びあう場づくりの技法 (アカデミック・スキルズ)

大学生の学習のうち、グループ学習に特化した本。特に一年次からゼミやグループに分かれての講義・レポート・発表が多い学生に向いている。グループの作り方から情報収集や発表、ディベートの準備などなど、グループ学習に必要なスキルが紹介されている。小規模集団での学習になじめない学生には必読と言っていい。


知のツールボックス―新入生援助(フレッシュマンおたすけ)集

知のツールボックス―新入生援助(フレッシュマンおたすけ)集

勉強中心に大学生に必要な前提知識を説明している本。大学で学ぶために必要なスタイルを獲得するための考え方と知識が整理されている。最後のネットコミュニケーションのマナーと注意など学習以外についても一部フォローされている。


大学生の学習テクニック

大学生の学習テクニック

これは独習を好む文系学生のために書かれた学習技術の本で、初歩的な情報収集から大学院生の論文にまで対応した学習技術と学生生活について書かれている。また、不本意な大学に入学した学生向けの部分まであって、幅広く使える。

注意

この手の本にも難易度に差があり、内容が合っているかどうかについて他人の評価は必ずしもあてにならない。自分で読んで判断してほしい。同様の本はこれら以外にもあるので、図書館や書店の棚を見ると他にもみつかると思う。レポートや論文、プレゼンテーションの技術についてはそれぞれ特化した本もあるので、そちらを見たほうがいいこともある。
なお、この種の本は、いずれも自分で何とかしなければならないものが多いことに注意してほしい。楽をするための技術(ノートの借り方とか)はまず扱っていない。また、本に登場する例をそのまま自分の課題に流用できるわけではないので、その点も各自の事情にあわせた工夫が必要だ。