ロシア武術・システマ・シクヴァル

今回紹介するロシア武術はシステマ・シクヴァル(Система ШКВАЛ)という。
この呼び方はロシア語圏以外ではほとんど知られておらず、しばしば他のシステマと混同されている。
ステマ・シクヴァルを創始したのは元々はカドチニコフ・システマ出身のアレクサンドル・ラブロフである。
ラブロフはソ連時代から軍の格闘技指導を行い、GRUの指導も行ったという噂だが、はっきりしたことはわからない。
ステマ・シクヴァルの名前での指導が始まったは2003年だとされているが、それ以前から指導はしていたようだ。システマ・シクヴァルとして指導を始めた後もカドチニコフ・システマやその派生団体との交流がある。具体的にはカドチニコフ・システマの団体でシステマ・シクヴァルも教えられていたり、合同セミナーを開催していたりする。昨日紹介したシステマスペツナズもラブロフを招いたセミナーを開催したことがある。
ステマ・シクヴァルの指導内容は元は兵士の心身を訓練するためのものであり、直感や知覚の上昇、周囲の危険を察知する能力の向上、恐怖・ストレスの制御、自分の心理状態の適切な処理、自己規律を高めることを目標とするものだという。ラブロフの訓練を受けてチェチェン等に赴いたを学んだ2,000人以上の兵士からは、死傷者は出なかったと説明されている。システマ・シクヴァルは兵士専門の格闘技というわけではなく、民間人も対象に指導が行われている。
実際の練習内容はカドチニコフ・システマのような段階的な身体操作や攻防の技術の練習の後、心理的な誘導や暗示、意識に関わる非接触戦闘のトレーニングが行われる。システマ・シクヴァルの非接触の練習やデモンストレーションは、他のシステマと比べても突出しており、その説明内容については私の語学力では紹介できない。


GRUへの指導。相手をコントロールし、テイクダウンや関節技に。

顔面にパンチを打ってくる相手に対して、どのように影響を与えるかを説明。

ラブロフの指導の動画シリーズから。関節技中心の内容。こうした指導では繊細な技術だが普通の格闘を教えている。