図書館と武術の史料の寄贈

時折Twitterなどでも話題になる古い武術の伝書を将来どう保存するか、という話に関して。特に図書館に寄贈することを考えている人向けに自分の狭い経験と知識の範囲で書いてみる。

  • 公共図書館で古い史料を保存・整理して情報公開できるところは限られている。
  • 具体的には「温度・湿度変化に対応できる古文書用の保管スペースがある」「古文書を情報としても物理的な実体としても理解して扱える人材がいる」「史料を傷めないため、コピーではなく撮影できる」「古文書を電子化して公開している」といったことができる図書館であれば問題ない(電子化はあれば理想的だがなくてもよい)。
  • 要するに資料の保存と利用の両方を考慮した体制や予算、そして専門家が揃っている図書館が求められる。
  • となると規模の大きな公共図書館国会図書館、その種の分野の史料を扱う一部の大学図書館ということになる。
  • 国会図書館への寄贈は条件が公開されている。寄贈と発行者が行う納本は違うので要注意。
  • 市町村立図書館で武術史料に対応できるかどうかは色々である。場所や専門性の高い人材がないこともあるし、所蔵していても内容を理解できていない図書館もある。明治時代以降に創始された流派の伝書を江戸時代の伝書として公開した公共図書館の例を知っている。
  • 図書館の実績とその図書館の担当者との話し合いで判断するしかない。
  • 博物館やその他の公共施設については経験がないので何とも言えない。
  • 伝書の類とは違うが、武術研究の自費出版の本・雑誌・会報などは、国立国会図書館への納本と合わせて他の図書館への寄贈も検討したほうがいい。アクセスする機会が増えるので。コストの問題がある上に、これも小規模な図書館では対応できないことがあるのでどこでもいいというわけではないが。