- 先日やった練習にも通じるシステマのバランスの話。コネクトの話にも通じる。
- 相手を崩す場合、相手を完全に倒すよりも倒れそうで倒れない・崩れそうで崩れないアンバランスな状態を保ったほうが色々なことができる。
- 相手はバランスを取るために力み、緊張し、余分な力を使う。その分こちらは相手を自由に制御できるし、そこに力を必要としない。
- 立っている相手を崩して、完全にテイクダウンするのではなく、相手の体重をこちらが支えるのではなく、相手が崩れかかった体勢を自力で回復しようとしてできない状態が分かりやすい。
- こうしたアンバランスな状態というのは、かなり細かなレベルでも作り出すことができる。
- 例えば腕相撲で相手の手をアンバランスにすると、相手はこちらの腕を倒すのに適した状態ではなくなり、「押しているのに押せない」となる。
- これは、手の平の接している範囲で相手の力の偏りを感じ取り、その偏りを利用して微小なレベルで崩すだけでできる。外見上は何をやっているのか気付かれない。
- 手を通じてバランスを制することができると、相手の反応速度や技術にもよるがほとんど力を使わずに腕相撲で勝てる。
- 同様に相手にバランスを取らせる分かりやすい例として、長座で左右に向かい合って座り、互いに拳で押し合い、相手の拳はいなすという練習がある。
- この練習では脱力しないとまず相手を押す力が自分に返ってきてしまうので、不慣れな人はまずそれに慣れなければならない。
- システマの練習を重ねた練習者は、自分の体を押そうとする相手の拳を通じて相手をアンバランスにすることができる。相手はこちらを押そうとする分だけ崩れる。
- 慣れていない練習者は、体を捻って相手の拳をいなそうとしても、微小なレベルで相手の力の偏りを制していないため、それだけでは相手を崩せない。
- 感覚や体の使い方の細やかさが重要で、そもそも相手が拳で押すのをただ待っているだけではうまくできない。
- 相手の拳が自分の体に接する前に相手のバランスを制するかどうかは始まっており、相手の拳が接する時にはバランスを制する作業はかなり終わっている。
- 要するに微小なレベルではバランスを制する作業は相手が離れている状態から既に始まっている。
- こうした練習で相手をアンバランスな状態にできるようになると、逆に自分が押す・当てる場合にバランスを制することも細かなレベルでできるようになる。
- バランス/アンバランスを制する感覚はレスリングでも使えるしストライクでも使える。
- これはいわゆるインターナルと呼ばれる領域の話で、第三者として見ていると分かりにくい。
- 自分の経験では、できる相手と組んで何が起きているのか体験することが一番の練習になった。