ボツネタ:「小説家になろう」のシステマ

少し前に没にした記事に「小説家になろう」に登場するロシア武術システマを紹介するというものがある。
2年ほど前にも同様の記事を書こうと思ったが、その頃はまだシステマを登場させている作品が少ないためやらなかった。
しかし現在では50以上の作品でシステマが登場している。
名前だけ出ているものからちゃんと使い手としてのキャラクターが登場するものまで幅広い。
紹介する作品自体は豊富にあるのだが、漫画と違って解説が厄介なのとあまりに数が多いので没とした。
メモだけ書いておく。

  • スペツナズの格闘技、軍隊格闘技というイメージが強いせいか、他の軍隊格闘技との区別がついていなさそうな例がいくつかある。
    • そもそもネット小説では、軍隊格闘技全般にある種の厨二病的ロマンというか『ザ・殺人術』的なイメージがつきすぎである。
    • 様々な軍隊格闘技に関して誤解がある。普通使われない呼称を使うなど名前や所属に関する間違いが多い。
      • 例えばCQCを特定の国の軍隊格闘技の名前としているような勘違いとか。
  • 実際の資料(多くはネット上の解説)や動画を元にした説明を加えている例もある。
    • ステマの4原則とか呼吸法に触れている作品が複数ある。そうした作品は前に調べた時にはなかったものだ。
  • 一方、間違えている例もある。
    • 特に多いのはロシアでのシステマ知名度と普及の程度。現実より非常に普及しているような勘違いがある。逆に機密で特殊な経歴・コネの持ち主しか学べないことになっていることもある。
      • これは単なる間違いではなく、そうしたほうがストーリーや設定上都合がいいからという場合もあるだろう。
    • 技術的な面では、「型があると思われている」「ネット動画に出てくるデモンストレーションが実戦のシミュレーションだと思われている」「使用頻度の低い技術、使わなそうな技術がなぜか登場する」といった例が気になった。
      • この辺は、作者が調べずに誤解しているものもあるが、調べた上で思い切り間違えている様子が伺える例もある。
  • 「なろう」作品では登場人物が複数の格闘技を習得している例がかなりあり、その中にシステマが含まれていることがある。どの程度システマが活用されているのか全く分からないものもあるが、ちゃんと工夫している例もある。
    • 割合としては単に名前だけ入っているもののほうが多い。
    • 工夫している作品でも、うまくいってないほうが多い(主にシステマである必要性の問題で)。小説で一人の登場人物が複数の武術を組み合わせて使うのは難しいのではないだろうか。
  • 登場作品の多さやちゃんとした知識、誤解も含めて全体としてシステマ知名度は上がったと言っていいのだろう。
    • 単に「なろう」作品の絶対数が増えたから、マイナーな格闘技の登場も増えたという可能性はあるが…。

>>ボツネタ:「小説家になろう」と武術の知名度 - 火薬と鋼に続く