小学校高学年の頃に読んだが大人と一緒には読みにくい本15

小学校高学年に読んでほしい50冊。いや、「子どもと一緒に読みたい本」。 - いわせんの仕事部屋
このような記事があった。
自分は小学生の頃、児童文学を少数しか読んでいなかったので興味深い内容だった。
自分の読書経験を思い出してみると、親の本を読むか、あるいは図書館で読むことが多かったので、こういうラインナップは思いつかない。
これは別に皮肉とか批判ではなく、そういう読書体験だったからとしか言いようがない。
孤独のグルメ』(原作:久住昌之、作画:谷口ジロー)風に
「本を読む時はね、誰にも邪魔されず 自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ 独りで静かで豊かで・・・」
と言ってもいい。
そんな私のような読書をする小学校高学年向けに、大人と一緒に読むにはあまり向いていない本を挙げてみる。

1. 横溝正史『夜歩く』

夜歩く (角川文庫)

夜歩く (角川文庫)

小学生の頃横溝正史が好きで読んでいたが、中でも驚いたのがこれ。
さすがにネタバレはしないが、アレの嚆矢であるアレを知らずにこれを読んだので、その分衝撃的だった。

2. 横溝正史『蝶々殺人事件』

蝶々殺人事件 (角川文庫 緑 304-9)

蝶々殺人事件 (角川文庫 緑 304-9)

『夜歩く』を挙げるとこれも当然お勧めすることになる。

3. 横溝正史『獄門島

獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

4. 横溝正史『悪魔の手毬歌』

悪魔の手毬唄 (角川文庫)

悪魔の手毬唄 (角川文庫)

5. 横溝正史八つ墓村

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

以上全てどれを読んでもいい。全てを挙げるとキリがないので以上に留める。

6. 山田風太郎魔界転生

魔界転生(上) 山田風太郎忍法帖(6) (講談社文庫)

魔界転生(上) 山田風太郎忍法帖(6) (講談社文庫)

魔界転生(下) 山田風太郎忍法帖(7) (講談社文庫)

魔界転生(下) 山田風太郎忍法帖(7) (講談社文庫)

山田風太郎にもはまっていた。
普通の時代小説に飽きた子にお勧め。これは特に戦国時代末〜江戸時代初期の剣豪や人物についての知識がある人向け。
漫画化・映像化作品もあるので比べるのもいい。

7. 山田風太郎忍法剣士伝

忍法剣士伝 (角川文庫)

忍法剣士伝 (角川文庫)

同じく剣豪ものだが、こちらは完全に戦国時代。佐伯俊男の表紙絵がよく合っている。

8. 山田風太郎『警視庁草紙』

明治維新ものが好きならこれ。
中心人物以外にも同時代の有名人が出てくる。

9. 山田風太郎『姦の忍法帖

私が一番最初に読んだ山田風太郎作品は実はこれである。
表題作は土山しげるが漫画化したから、知っている人もいるのでは?
読んだ後、ストーリーの点でも忍法の着想の点でも「何だったんだろう…」と呆然とすること受けあいの短編集。

10. 山田風太郎忍法忠臣蔵

忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2) (講談社文庫)

忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2) (講談社文庫)

私は忠臣蔵ものが好きだったのでこれも印象深い。

11. 山本周五郎町奉行物語』

町奉行日記 (新潮文庫)

町奉行日記 (新潮文庫)

12. 山本周五郎『ひとごろし』

ひとごろし (新潮文庫)

ひとごろし (新潮文庫)

山本周五郎にもはまっていた。
小学生の頃、山本周五郎作品を読むというのは長谷川伸作品を読むのと同じような気恥ずかしさがあり、人前で読んだことがなかった。

13. 末広陽子『ゴンベッサよ永遠に』

ゴンベッサよ永遠に―幻の化石魚シーラカンス物語

ゴンベッサよ永遠に―幻の化石魚シーラカンス物語

ここで小説以外ものも挙げてみる。
シーラカンス発見当初のエピソードから日本の学術調査隊の活動までを扱った本で、当時は高校生向け全国課題図書だった。
この本刊行後の様々な発見は当然含まれていないが、学術調査の苦労や面白さが描かれた良い本である。
今は新本で流通していないが、所蔵している図書館は多いはず。

14. ファラデー『ロウソクの科学』

ロウソクの科学 (岩波文庫)

ロウソクの科学 (岩波文庫)

これは説明の必要がないくらいの名著。角川など他からも出版されている。
しかしロウソクと言うとSMのイメージが強く、これまた人前で読むにははばかりがある本だった。
そんなことを気にするのは小中学生だけだと思うが。

15. 小山勝清『それからの武蔵』

それからの武蔵 1 (集英社文庫)

それからの武蔵 1 (集英社文庫)

それからの武蔵 2 (集英社文庫)

それからの武蔵 2 (集英社文庫)

それからの武蔵 3 (集英社文庫)

それからの武蔵 3 (集英社文庫)

それからの武蔵 4 (集英社文庫)

それからの武蔵 4 (集英社文庫)

それからの武蔵 5 (集英社文庫)

それからの武蔵 5 (集英社文庫)

それからの武蔵 6 (集英社文庫)

それからの武蔵 6 (集英社文庫)

吉川英治の『宮本武蔵』を中学年に読んだので、その流れでこれも読んだ。
これを読むには吉川英治の『宮本武蔵』を読んでいることが前提。
萬屋錦之介の時代劇がよく知られている。
今思うに、山の民との交流など、隆慶一郎の『吉原御免状』にひそかに影響を与えたのではないだろうか。
吉川英治と比べるのは酷だが、人に勧めるには躊躇する長さと内容であるのは間違いない。