近年のブッシュクラフト・ナイフの流行とモラ・ナイフやヤクート・ナイフ

昨日のシステマ杉並練習会で話した内容から。
2000年代、サバイバルナイフやタクティカルナイフとしてブッシュクラフト・ナイフが注目されるようになった。
かつてはサバイバルナイフというと多機能ナイフばかりだったが、北米等で民間人や軍人にサバイバル技術、アウトドア技術を教えるスクールではブッシュクラフト・ナイフを使わせるところが多く、近年ではその種のナイフがより幅広い人々に知られるようになっている。
ブッシュクラフト・ナイフとは、シンプルなデザインでハンドガードがないか小さく、鋭利な刃で木・蔓などを加工するのに適しており、火おこしやシェルター作製、罠の製作、獲物の加工などに使われるナイフだ。全長はコンバットナイフより短い21〜25cmくらいが多く、鋼材の厚さは厚すぎない3〜5mmが多い。
ブッシュクラフト・ナイフとしてはスウェーデンのモラ・ナイフが良く知られている。

こうしたナイフは以前からアウトドア専門家にはよく知られていたが、この数年で広く注目されるようになった。
私は、この流行の背景にアメリカのリアリティショーの影響があるのではないかと思っている。
アメリカでは2000年代にサバイバルスキルをテーマにしたリアリティ番組が増えた。
サバイバルもののリアリティショーのパイオニアである『サバイバー (SURVIVOR)』、 ベア・グリルスが一躍有名になった『サバイバル・ゲーム(MAN vs. WILD)』、そして『The Naked(Naked and Afraid)』、『ザ・マンハント(LONE TARGET)』、『Dual Survival』などなど…
こうした番組では様々なナイフや技術が登場しているが、中でもブッシュクラフトとそのためのナイフは昔と比べて知名度を上げた。
これにより、ナイフファクトリーが製造するブッシュクラフト・ナイフの新製品も増えた。
2014年にはモラナイフもタクティカルナイフ路線のナイフを発売している。
スウェーデンのモラ・ナイフの新製品とタクティカル化 - 火薬と鋼
こうした流行の中でモラナイフの近縁とでもいうべきロシアのヤクート・ナイフもアメリカで取り上げられるようになった。
Forging knives like our ancestors, secrets of the Yakutian blades
Knives of the Yakut | Warrior Publications

北欧のナイフと似ているが、片刃で平面のブレードの側を大きくえぐれた形状にしている点が特徴的だ。
鍛造で作られており、伝統的な形状が残っている。
ヤクート・ナイフはあまりロシア外で流通していないが、いずれ手に入れたいナイフの一つである。