護身用の技術や武器の評価の難しさ

海外のタクティカルペンの評価の過去記事を読んでいて昨年の『最強論議』に結論⇒「社会的に携行可能な武器の使い手が最強」。〜では、今の日本では? - はてな内移転準備中※何度か試みたが巧くいかんを思い出したので、コメントした。
このブログではよく海外で発明された護身用品を紹介しているが、この種の用品とそれを使う技術を評価するのは難しい。評価のポイントとして次のようなことが考えられる。

  • 想定

どういう状況で誰がどのような相手に使うことを想定しているか。

  • 携行しやすさ

持ち歩きやすいか。法的規制の対象になっているか。すぐに取り出せるか。

  • 攻撃力

相手にどのようなダメージを与えるか。過剰防衛にならないか。

  • 訓練・技術

使いこなすのにどのくらいの訓練が必要か。使用の際のリスクはあるか。


タクティカルペンの場合、どこでも持ち歩ける、誰でも使えるし、すぐに使えるが、攻撃力が低く、訓練が必要で、ペンしか持てないほど規制された状況以外では選ばれにくい(特にアメリカならナイフや銃のほうがいい)
攻撃力の低さと間合いの近さから過剰防衛の心配はあまりないが、相手に武器として警戒された場合にはかなり不利になる。突起を使った小型の打撃系護身用品のほとんどは同じ問題を抱えていると言っていい。手軽さ・安全性は攻撃力と引き換えなのだ。
だからアメリカでもタクティカルペンは護身用に有用ではないという主張がある。
実際のところ、想定している状況や技術によるとしか言いようがないと思う。あと、タクティカルペンは他の機能(ライトやガラスブレーカー等)を持たされていることもあるので、その機能分、他の護身用品より需要がある。
また、使い手の評価は別の問題がある。
タクティカルペンの用法を教えている映像をいくつも見ていると、「この技ができるならペンが無くても十分強いのでは」と思わせる例があって、この種の護身用品と技術を評価する難しさを感じる。
加えて一般に「強さ」というと条件を揃えた互角の状況での闘争がイメージされがちだし、そのほうが分かりやすい。しかし護身として考えられる状況は必ずしも対等な条件ではない。技術評価も結局はどのような状況や相手を想定しているかが重要になる。