穴水町立図書館、寄贈本1878冊を廃棄 町教委は一部反論「芥川龍之介全集はある」 | ハフポスト
この石川県の穴水町立図書館の寄贈図書廃棄の件について書いておく。
- こうした寄贈図書廃棄の問題は過去にも各地で起きている。
- 理想を言えば寄贈された資料全てを保管し、利用できるようにすれば問題はない。
- そううまくいかないのは「保管場所がない」という現実的な問題があるからである。
- さらに資料価値の判断という問題でもあり、寄贈者の認識と図書館や行政の認識とのギャップも問題にある。
- 認識、知識の問題について。
- 寄贈者は思い入れもあって全ての寄贈資料が特別扱いを受け、保存されるべきだと思っている。
- だが図書館では必ずしもそうした特別扱いをするわけではない。むしろ特別扱いすることは稀である。
- この認識のギャップを埋めるため、図書館は、寄贈資料をどう扱うのか規則化し明示しておくべきである。そして寄贈者には必ず事前に十分な説明を行う。
- 特別扱いするにしてもしないにしても、その判断の根拠や手続きは文書化されていなければならない。
- この点をかなりしっかり定めて運用しないと研究者の寄贈資料より有力者の寄贈資料が優遇されるような事態も起こる(実例あり)。
- こうした事ができていない図書館は適切な体制作りができていない。同様の問題はどこでも起こりうるのだから備えておくべき。
- 上の記事だが、はっきり言って古書店でも珍しくない全集本ブームの時代の『芥川龍之介全集』に特筆すべき高い価値があるとは思わないし、日本民俗学会の会報は石川県立図書館も所蔵している(ただし古いものは国書刊行会の復刻)。気軽に捨てていいとは言わないが、代えがたい貴重な資料とまでは言えない。
- この種の専門家の蔵書の寄贈は、専門家の判断でまとまっている事にも意味があるので個々の資料の価値だけを論じても片手落ちだが、それにしても上の記事からは、郷土資料・研究資料としての価値ではなく、現在の新本の書籍流通にないから、あるいは寄贈者の思い入れから捨てるべきではないと言っているかのようだ。
- しかし寄贈者の心情を重視すると、寄贈資料はどんなものでも捨てられなくなる。
- 貸出数優先で貴重な資料が廃棄されるというのはまた別個の問題としてあるが、貸出数優先でなくても寄贈資料が他の図書館資料と同じように捨てられることはある。
- 研究分野と全く関係がないとか、他の資料に全く同じ内容があるとか、他の図書館で利用できるとかいった理由で保存の必要性が相対的に薄いことがある。
- いずれにしても寄贈を受ける際の規則と説明で寄贈者との認識のギャップについてはかなり対処できるものである。
- 他の方法について