システマの練習で重い人間がやっていること

ステマにおいて体重が重い人間に対してどうするかという話はよく書かれているので、逆に体重が重い側は何をしているかについて書いておこう。
私は日本でもかなり体重が重いシステマ練習者だと思うので、一般化できる話ではないが何かの参考になるだろう。

重さへの反応の3分類

まず、重い相手に対する対応は3つに分かれる。


(1) 緊張・力みによる動きで重さを処理しようとして固まる。
(2) リラックス、脱力しているが力が足りずに重さを処理できない。
(3) リラックスした動きで重さを処理できる。


(1)は最も多い。大抵の練習者はリラックスしているつもりでもテンションをもって動いており、そのテンションが重い相手にはあらわになる。このためしばしば動きが止まる。重い人間からするとこうした状態の相手の力みに働きかけるのは容易である。
(2)は少ないが、脱力がうまく、インターナルワークのような細かなテンション操作に長けた人の一部にそういう人がいる。リラックスできていても相手に影響を及ぼす側面が弱く、発生させる力が小さすぎて重い相手を処理できない。エスケープや繊細なコントロールはうまいが攻撃はそれほどではなく、しばしば特定の攻撃に弱さを見せる。
(3)は熟練の練習者、インストラクターの対応だ。重さとぶつからず、はるかに重い相手にもリラックスして影響を及ぼす攻撃と動きを実行できる。

重さの有利不利

体重が重いことは有利だが、不利でもある。
特に重さに振り回されることが問題になる。具体的には小回りが利かない・疲れやすい・落下時の衝撃の処理が厄介などといったことだ。ただし、これらの問題は鍛錬やその人の特性によっては問題にならないこともある。
逆に、レスリングなどで重い人間は体重を相手に預けてしまうとこれらの問題を押し付けてしまうことができる。体重を預けると言っても必ずしも上に乗るとか寄りかかるとかいったことではない。重い人間の様々なかたちの接触心理的な影響で相手は重さを受け取ってしまうのである。
軽い人は重い人と組んで練習するのが何よりだが、上に書いたような熟練者が重い人と練習しているところを見ると良い。